Elekit TU-875

コンポの紹介

最近、真空管アンプキットは流行のようです。
オーディオマニアではない弟が知っていたのには驚きました。
TU-870(名機だと思います)はかなり流行っているのでしょう。

これは、同じエレキットから出ている4万3万円弱の真空管プリアンプキットです。
安価なプリアンプはなかなかありません。
いや、あるにはありますが帯に短しタスキに長しという感じなんでしょうか。

プリアンプなんて使おうとする人は、かなりオーディオの深みにはまった人です。
数十万以上のコンポを使用していたりします。
そんな人は大抵は数万円のプリアンプなんて使いません。
バランスが悪いと思いますから。
プリアンプがシステム全体の足を引っ張りかねません。

レコードが中心だった頃はプリアンプは大事な要素でした。
良質なフォノイコを積んだプリがレコードを良い音で聴くのに必要でした。
CDが中心になった近年は、プリアンプの存在意義が議論の的となりました。

しかし、最近デジタルパワーアンプで安価なものがいくつか出てきました。
そのせいか急に、安価なプリアンプやセレクターが注目を集め始めています。

仕様/スペック

以下はTU-875の製作マニュアルに掲載されているデータです。

使用真空管 6189W (12AU7)×3
使用FET 2S170×4
入力端子 PHONO (MM/MC: リアパネルのスイッチで切り替え)×1
LINE×2
TAPE(MD)×1
出力端子 PRE-OUT×1
REC-OUT×1
入力抵抗 PHONO:100Ω(MC)/50kΩ(MM)
LINE,TAPE(MD):40kΩ
定格入力 PHONO:0.3mV(MC)/2.7mV(MM)
LINE,TAPE(MD):230mV
最大出力(1kHz、THD2%) PRE-OUT: 22V
REC-OUT(PHONO時):13V
SN比 (IEC) PHPNO: 84.5dB (MC)/72.5dB (MM)
LINE,TAPE(MD):94dB
周波数特性 PHONO: RIAA偏差 0.8dB以内
LINE,TAPE(MD):2Hz〜130kHz (-3dB)
電源 DC7V±0.5V(消費電流 約1.8A)
専用安定化ACアダプタ付属(入力AC100V 50/60Hz)
重量 1.8kg(本体)
サイズ W130×H125×D248 mm(本体/突起部を含む)

何より興味深いのは、電源です。いわゆる電源トランスを使っていません(!)
AC-DCコンバーターで得られた直流7Vから200Vを作ってアンプを動かしています。

確かにトランスは重たい部品で、この小さなアンプには不向きだと思います。
それにトランスはノイズ源でもあります。
微弱な電圧を扱うフォノイコ内臓のアンプには、ないにこしたことはない?
ノイズの少ないトランスは高価です。

TU-875は、ICと小型のスイッチングトランス等でDC7VからDC200Vを作っています。
スイッチング電源、ということでしょうか。
パワーアンプのような大電力を必要としないので出来たのでしょう。
これはおそらく、音質全体に影響している筈だと思います。

表では判りませんが、回路図を見るとFET4個及び真空管2本がフォノイコに使われています。
ほとんど、フォノアンプにラインアンプが付属したような構成でしょうか。

ラインアンプ部は、12AU7を1本だけで済ませています。
ゲインは、そのまま組み立てると約2.1倍です。
これなら、フォノ部だけでフォノアンプとして使うこともできそうです。
REC-OUT端子から出力するようにすれば、最大出力12Vのフォノアンプとして使えます。

完成した製品として売られているフォノイコと比較してみたい、、
と思うこともあるのですが、普段CD中心で聴いているのでつい腰が重くなります。

ラインアンプは、やや左右ch間のセパレーションが悪いようです。
しかし真空管アンプにはありがちのようで、このアンプ特有のものかどうかはわかりません。
どちらかというとクリアな感触の音だと思いますが、暖かい艶のある音です。

スピーカーの高域が改善してからは長所よりアラが目立つので、改造を検討中です。
4万3万のプリと考えたら、大健闘と思います。

2003.01.09. 現在

2につづく

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