Oct 08, 2007
「改めて、CCCDから今まで」の追記
えーと。
ちょっと頭を冷やして、前回の自分のエントリーを読み返してみました。
読み返してみると、「現在の音楽シーンを見て乱世のシーンだな、貧しいなと感じている。」というのは、ちょっと言い過ぎだったかなと感じています。いい作品は今でもあちこちで作られていて、自分も買ってたりするので。
音楽業界全体が、メジャー・インディーズ関係なく規模縮小せざるを得ない状況で、そんな中で作品をリリースしていく苦労はすごく大きいと思います。
できれば潤ってほしいのですが。
そのほうが楽しそうですからね。
なんというか、「豊穣」とか「貧しい」とか、漠然とした言い方は感覚的にすぎたかな、と反省しました。
しかし、僕はそういう風に感じているんですね。
僕が何を感じてそんな言い方を選んだのか、もう少し考えてみると、多分、現在のシーンには「こういうのが面白いから皆に伝えたい、リリースして世に出そう」というのが薄れて、「こうしたら安く作れて売れるはず、リリースして元は取れるかな」というのが濃厚な雰囲気があって、それが音楽なら、音から感じられるというか。
ちょっとネット上の記事から引用します。
着メロ・着うたという巨大音楽メディア〜烏賀陽弘道コラム(10)(OhmyNews:オーマイニュース)
CMタイアップがメガヒットを大量生産していた90年代には、テレビCMの時間=15秒に合わせて、楽曲も「目立つ15秒」ばかりが大げさな、ある意味ちぐはぐな曲が増えた。「曲のこま切れ化現象」である。
私が取材した前述の着メロ会社社長は、着メロ向きの曲として「耳に残るさびのメロディーが5秒あればいい」と断言した。その理論が正しいなら、またさらに15秒から5秒へと「曲のこま切れ化」が進むのだろうか。
さび15秒の勝負なんて、、、
そんなんではフィッシュマンズのブレイクはなかったと思うのですね。
こういうことは、業界に金がないということだけでは収まらない。
ニコニコ動画のコンテンツが、たとえボロボロであっても(失礼!)聴かせる音楽的テンションを持っているのは、そこにかけられた自由な情熱の違いです。多分、そういうのは、音楽が好きな音楽ファンには、聴いたら分かることなんだと思います。それを「豊かさ」と感じる音楽ファンは少なくないと思います。
前のエントリーでは、そういったテンションによって感じられる豊かさと、人材や資産によって生まれる音楽の豊かさが、ゴッチャ混ぜになっていて、分かりにくくなっています。
音楽の制作環境の違いや人のつながりによって、テンションが上がって面白い作品が生まれることがありますから、全く無関係ではないでしょうけど、意味合いとしては別のことですから、これはエントリーの文章がよくないです。
フィッシュマンズが注目される作品を作り得たのは、専用スタジオをポリドールから提供されたことや、ZAKやHONZI(ご冥福をお祈りします)といった人材との出会いがあったことなどが、大きいと思います。
業界の萎縮は、そうした効果、機会が失われていくということです。
津田さんが念頭に置いている「豊かなコンテンツ状況」はそういったことだろうと僕は解釈していて、そうした資産がスポイルされるのは僕も残念だと思っています。
あと、もう一つ。
どうして今の音楽シーンが魅力的に感じられないのか。
やはり、ネットの可能性について、最初から否定し「知ろうとしない」ことは大きいと感じています。
なぜ知ろうとしないのかというと、著作権の方が優先事項だからでしょう。
ネットの可能性やメリット、そこに展開されているエネルギーを自分たちの音楽のエネルギーに取り込みたいと思ったら、今まで行使してきて当然と思ってきた、今まで多くのファンに侵害されて自分たちが被害を受けながら我慢してきていると思い込んでいた「著作権」が及ぶ範囲を「自己規制」せざるを得ない。
だから否定する。
そんな不自由なところで作られる音楽は、多分、お金をかけてもテンションが上がらない。
過去においてシーンを活性化してきたのは、より開放的に音楽ファンの欲望を取り込んで自由に表現したジャンルでした。
本当は、ネットを拒絶したポップシーンというのは、今の時代にあり得ないと思う。
実際、「著作権」を「自己規制」しはじめたミュージシャンや音楽関係者も出てきています。彼らが才能を生かせる環境が整っていけばいいと思うのですが、、。逆にインターネットを使って、今までの業界のしがらみに捉われない繋がりや豊かさを実現できる環境が作れるのではないかとも、業界の外から妄想したりします。
音楽業界トップの著作権への偏愛は、ポップシーンのみならず、クラシック音楽やジャズなどの流行に左右されないシーンにも悪影響を及ぼしています。非常に害悪が大きいので、考え直してほしいと思っています。
しかし、前回のエントリーは「無理だろうなあ」という気分に偏重?しているので、もうちょっと自分は前向きに行きたいなあと考え直したところがありました。
まあ、ともかく、がんばっていきましょう。
1ユーザーの分際で無責任ですまん。
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