Jul 12, 2016

ハイレゾを作って再生してみる、など (追記:アップコンバートすることにした)

どこから書いたものか。
現在、うちのオーディオのメインシステムはpiCoreを使ったメモリ再生になっている。
volumio + NASの音も悪くないと思うんだけど、妻は音量を上げたらうるさいというのだ。まあ、それは認めるけどたいしたことないじゃんと思うのだけど、妻としては差が大きいらしい。メモリ再生だと音量を上げてもうるさくないという。確かに、僕もそう思う。
オーディオやってる僕よりも、実は妻のほうが音質にはうるさいのだ。僕はうるさくても案外平気で聴いていたりする。

同じファイルであっても、NASに置くか、RAM上に置くかで、大きな音質差が生じる。
つまり、44.1kHz/16bitの音源の扱いはそれほどデリケートだということだろう。

過去には、調子がよくないNASを良いものに替えることで、音質が改善した経験がある。
このときは、NASの交換に伴ってmpd.confの設定が変わってしまった。調子が悪いNASを使っていたときはアップサンプリングする設定の方が音がよかったのが、NASを交換したら、しない設定の方が音がよくなったのだ。

今回のメモリ再生の試みに関連して http://www.yung.jp/bony/?p=3595 こちらのサイトのオーナーyung氏が同様のことをコメントしている。つまり、mpdのアップサンプリングの設定をやめたというのだ。そのほうが音がいいと。

mpdのアップサンプリング設定をやめるとき、というのがあるようだ。
システムの状況が改善し、ジッターが充分に減ったときには、アップサンプリングしないほうが音がよくなる、ということらしい。

逆に、ジッターが多い状況だとアップサンプリングしたほうが良くなる場合がある。アップサンプリング自体がシステムに負担を強いることだし、アップサンプリング自体の品質がどの程度確保できるかもシステムによるので、やってみないと結果は分からない。

過去には、うちではMac miniからの光出力をDACに送る際に、Mac miniでアップサンプリングしていたことがある。
5mばかり光ケーブルを引っ張っていたのでジッターが多かったのだろう。
アップサンプリングすることで、かなり音質が改善した記憶がある。

あと、LANの受け手側のmpdでアップサンプリングしていたことがある。
前述したNASの調子が悪いときの話で、データの転送自体ですらシステムに大きな負担がかかっていた。ジッターが増えやすい環境だったのではないかと思う。そうした場合には、mpdによるアップサンプリングの品質が悪くても、しないよりマシで、したほうが音がよかった。

もっと昔、ニールヤングがリリースしたDVDのハイレゾ音源を、当時はPowerbook G4だったかで再生して、CDと比べて音がいいことに驚いたことがある。もしかしたら元々ミキシングが違うのかもしれないが。ずいぶんクリアになるんだな、と当時は思った。ミキシングが違うからという印象ではなかったのだけど。

そこでタイトルに戻るのだけど、ハイレゾだ。

ファイルをアップサンプリングして再生するということは、ハイレゾを再生するということだ。
アップサンプリングして送信するということは、ハイレゾを送信するということだし、アップサンプリングするということはハイレゾ化するということだろう。

CDからのリッピングファイルをアップサンプリングしただけのファイルやデータなんてニセレゾじゃないかという話があるが、僕はいろいろ考えては見たんだけど、まあ、それもハイレゾだろう、という結論に達した。
問題になるのは売り方だ。
ニセレゾというのは、売り方の問題に関わる言葉だ。
それとハイレゾファイルって実際どうなのか、という問題は別だ。

ここまでの話の流れから、ここで言いたいことは自明だろう。

ハイレゾ再生というのは、ジッターが多い環境での音質対策なのだと思っている。
ジッターが少ない環境なら、理論的に44.1kHz/16bitで充分なのだと思う。
ジッターが多い環境になると理論どおりのDA変換とはいかないので、44.1kHz/16bitの音楽再生だと音質劣化が無視できなくなるんだと思う。

話は単純で、サンプリング周波数が多くなったら単位時間当たりのサンプルが増えるので、DA変換に際してのジッターの影響による誤差が相対的に少なくなるのだろうと考えている。
得られる音質改善は対症療法的なものだ。
デジタル音源再生の音質改善の本質はジッター低減だと思うのだが、コンシューマーが取り組むには限界がある。というか、そもそもコンシューマーはジッターについて考えたりなんかしない。mp3で大音量のほうがいいのである。RAMに可逆圧縮ファイルを取り込んだりなんかしないのだ。

思うんだけどハイレゾ音源の利用というのは、もともとコンシューマー向きの再生形態でハイエンドオーディオ向きではないと思う。
ハイエンドコンポであればジッター対策もそこそこ施されているはずだから、恩恵が少ないのではないか。
むしろコンシューマー向きのジッター対策していないオーディオセットでこそ、CDとハイレゾの差がはっきり出るんじゃないかと思うし、コンシューマーは難しいことは考えずにハイレゾ使ったら音がいいねで済んじゃうほうが望ましい。ジッターが少なかったらCDで充分なんて薀蓄はコンシューマーには似合わないし、コンシューマー用の機器ではそもそもジッター対策は打ちにくい。

いや、違うかな、、、
家電店とかでコンシューマー向きのミニコンポとかの音を聴く機会があるけれど、なんというか厚化粧で、これならどんなCDでもおんなじように鳴るだろうな、という印象を受けることがある。あらを隠すことには大成功してるという感じ。これも技術的なノウハウがあるのだろう。
CDとハイレゾの区別は付かないかもしれない。
だとしたらハイレゾの恩恵を受ける層はいないってことになるのかな、、、

話がそれた。
ここで取り上げるのは、CD音源の44.1kHz/16bitのファイルを192kHz/24bitに変換して、メモリ再生したらどう聴こえるだろうかということだ。
ジッター対策を多少なりとも行った環境(メモリ再生環境とはそういうものだと僕は理解している)でハイレゾに意味があるのかということ。
これで意味があるなら、ハイエンドオーディオでもハイレゾに意味があるだろう。

変換に使ったソフトは以下のサイトから落とした。
TASCAM Hi-Res Editor
https://tascam.jp/jp/product/hi-res_editor/top

使った音源は、Pierre Boulez の the Complete Columbia Album Collection というボックスセットから、CD40 Bartok / The Wooden Prince の一曲目、「Introduction」。CDをリッピングして作ってあった 44.1kHz/16bit flacからwav を作成、これを、TASCAM Hi-Res Editorを使って、192kHz/24bit wav を作成した。これを xrecode II を使ってflacにする。
つまり4種類のファイルができる。
ふだん使っているのはflacだが今回は敢えてwavも聴いてみる。

ファイルを作った直後に Compaq 6710b / foobar2000 で再生してiPodのおまけだったイヤホンで聞き比べたら、なんとなく違うような気がする。自作ハイレゾファイルのほうが、いいんじゃないかな。
次に、NASにコピーして、そこからのデータを再生。Compaq 6730b / mpd でイヤホンで聴いてみた。これは、区別が付かない。区別が付かない上に、どうも明らかに精彩を欠く。NASから物理的にもかなり遠いというのもあるのだろうか。しかし、それだけ聴いていたら、それほど音が悪いとも思わないんだけど。比較してしまうと差が明瞭になってしまう。

7月15日、追記。
気を取り直して再度、NASからの音をイヤホンで聴いてみたら、若干だが自作ハイレゾファイルのほうが滑らかで繊細なニュアンスが伝わる音がするようだ。最初に聴いたときは落差に驚いて判別不能に至ったようだ。
訂正しておく。

piCoreでメモリ再生してみる。メインシステムでスピーカーからの音だ。

結果から言えば、わずかだが違う。
ジッターの影響が少なくなれば区別が付かなくなる、という想定だったのだけど、違いはメモリ再生でも聴き取れるように思う。
Ras piなんて使ってるからそんなもんだろと言われても他と比較する術はないが。
192kHz/24bitのほうが繊細でグラデーションが細やかな鳴り方だ。44.1kHz/16bitは勢いがあるけど、やや荒い。ロックには良いだろうけど。ロックは昔からノイジーな音楽で、若者はそのほうが共感できることがある。

困った。自作ハイレゾの方がオーディオ的には音がいい。
というか、CDをリッピングしたファイルから作ったハイレゾでも、ハイレゾとして機能するんじゃないのかな?

何が困るって、CD1枚をリッピングしたflac(うちのライブラリの基本はそれだ)からハイレゾファイルを作って再生するとしたらファイルのサイズがバカにならない。Ras pi 2 のメモリ1GBではとうてい足りない。Ras pi の何がいいって、i2sデバイスが簡単に設定できるところなのだけど、数GB以上のメモリを積んだ他のボードPCを利用するとなると、i2sの工作が大変だ。ソフトウェアの設定も、Ras pi のように簡単にはいかないはずだ。
となると、usb出力を使うことになる。
うちには使えそうなusbデバイスがないのだ。何か探すということになる。
しかし現状で鳴っている音を聞くと、、そこまでするニーズって、僕の中にあるの?と思ってしまう。

他の手段としては、Ras pi 2 に他のメモリを追加して使うとか。usbメモリを刺して、musicディレクトリにマウントしてしまえば数GB以上の空間として使える。若干システムの負担になるのがデメリットだけど、LAN経由でNASを繋ぐほどじゃないはずだ。
というか、ハイレゾ変換ファイルusbメモリ再生をするつもりなんだろうか僕は。
日常的な使用という意味では、メモリ再生以上にハードルが高い。音源を格納したusbメモリを再生出来るネットプレーヤーなどという製品が巷では販売されているのだし、もしかしたらそっちのほうが有望な選択肢なんて事になるやもしれない。

などと考えながら、購入した正規のハイレゾファイルのメモリ再生などしていると、必ずしもハイレゾの方がいい感じに鳴るとばかりは言えないように思えてきた。Waltz for Debbyは、CDからリップした44.1kHz/16bit flacのほうがなんだかいい感じなのだ。HDTracksから購入した96kHz/24bitのファイルがあるんだけど、どうも良くない。ぼんやりしている。以前からハイレゾってこんなかな?ソフトな音だよねと思ってたんだけど、明確になってしまった感じだ。
理由は、おそらくはマスターの劣化によるものだ。

ハイレゾのマスターは、米コンコード社でオリジナル・アナログ・テープより変換された2010年192kHz/24bitリマスターを基にしたDSDマスターが使用されているとか。対して、CDのほうは1997年のもので、アナログマスターテープに20bit K2スーパーコーディングを用いたHQCDだ。
10年以上の時間による経年劣化が、音に反映されているのではないか。
もうひとつ音源を所持していて、Complete Village Vanguard Recordings 1961(日本盤)というもの。これは2002年にデジタル・リマスタリングされたらしく、どうもベースの音が太い。別ものだ。
調べてみたら、Waltz for Debbyという音源はいろいろあって一筋縄に行かないらしい。

こうなると、古い音源が欲しくなる。
これ以上ここに書くと話がとっちらかるので止める。

さて。
ras pi2 + piCore7 は、usbメモリを刺したら自動的に認識してくれる仕様になっているようだ。

tc@box:~$ fdisk -l

Disk /dev/mmcblk0: 3965 MB, 3965190144 bytes
3 heads, 8 sectors/track, 322688 cylinders
Units = cylinders of 24 * 512 = 12288 bytes

        Device Boot      Start         End      Blocks  Id System
/dev/mmcblk0p1             342        2902       30720   c Win95 FAT32 (LBA)
/dev/mmcblk0p2            2903      322688     3837432  83 Linux

Disk /dev/sda: 8054 MB, 8054112256 bytes
49 heads, 29 sectors/track, 11070 cylinders
Units = cylinders of 1421 * 512 = 727552 bytes

   Device Boot      Start         End      Blocks  Id System
/dev/sda1               1       11071     7865328   b Win95 FAT32

tc@box:~$ mkdir music/usb
tc@box:~$ sudo mount -t vfat /dev/sda1 music/usb

上記コマンドでマウントポイントusbにsda1をマウントできる。
しかし、理由はよくわからないのだけど、これでmusic/usbmに音楽ファイルをsftpで転送出来るのかというと、うまくいかない。権限の問題じゃないかと考えたりしたのだけど、解決できなかった。
しかたないので、以下のようなコマンドでNASの音楽ディレクトリもマウントして、そこからsshでコマンドを打って音楽ファイルをコピーすることにした。

tc@box:~$ mkdir titan
tc@box:~$ sudo mount -o addr=192.168.1.80,nolock -t nfs 192.168.1.80:/titan /home/tc/titan

しかし、これもうまくいかない。 というのは、せっかくマウントしたusbメモリをメモリとして使ってくれないようなのだ。
piCoreはどうも、メモリが必要となるとまずはRAM、その次にmicroSDカードを使うように設定されているようで、マウントされてるusbメモリは目もくれず、まずRAMにデータを蓄積し、足りないとmicroSDカードにデータを蓄積していく。数GBのデータをマウントしたusbメモリに転送したつもりが、アンマウントして確認したら空っぽだった。
これでは音を出してもどこにあるデータを再生しているのかわからない。

つまり、usbメモリからの音を聴きたければ、あらかじめデータをusbメモリにコピーしてから刺さないといけない、ということだ。
解決法もあるのかもしれないが、発見できなかった。それでも、音が出るだけ御の字だ。

そんなこんなで、usbメモリに書き込んだファイルとLAN経由の音を比較してみる。音源はMiles DavisのSorcerer。
多少、usbのほうがいい感じ。細かいニュアンスがでるしアタック音のきつさが自然になる。
usbメモリに書き込んだファイルと、RAMに置いた音を比較してみる。、、若干、RAMのほうがいいかな。細かいニュアンスが出ている。比べたらusbのほうが荒々しい。
usbメモリを抜いたら、また変わるのかもしれないけど、ちょっと根気や記憶力が続かなくて比較できないと思う。

一応、音質の比較は LAN < usbメモリ < RAM、ということになった。
しかし、usbとRAMとの音質差はわずかで、激しい音楽の場合はusbでもいいんじゃないかな、という感じだ。

usbメモリにハイレゾ化したファイルを置くようにしたらRAMの不足を補えるかと思ったけど、どうも改善と悪化が打ち消しあってチャラになりそうな予感がする。
RAM再生で比較したら差を聴きとれた Boulez の Bartok / The Wooden Prince 「Introduction」を再生してみる。
RAMにCDからリップした44.1/16のflac、usbにそのファイルから作った自作ハイレゾ192/24のflac。

区別が付かない。
そう思いこんでるからかどうかわからないが、実際区別が付かない。残念だけど、usbメモリを自作ハイレゾの貯蔵庫にというアイディアはどうも無駄ばかり多いということになりそうだ。自作ハイレゾを本気で使う気ならメモリを数GB以上積んだマシンで取り組むべきなんだろう。

もしもusbメモリを貯蔵庫に使えるようなら色々と便利になるだろうにと思っていたんだけど、残念だった。今回はここまで。

7月19日、追記。

ふと思い立って、アップコンバートを試みることにした。
Raspberry pi B+ではとうてい無理だと思っていたんだけど、Ras pi2だったらメモリもCPUも強化されているし、出来るのではないか。
mpdの設定で、量子化ビット数はCDと同じ16のまま、サンプリング周波数を上げることにする。
libsamplerateは、tczが用意されているので、以下のコマンドでインストールできる。

tce-load -wi libsamplerate-dev.tcz libsamplerate-doc.tcz libsamplerate.tcz

mpdを再インストールして、.mpdconfを編集する。

サンプリング周波数192kHzでは、Medium Sinc Interpolatorではノイズ、音跳びでうまくいかなかった。
サンプリング周波数176.4kHzだったら、Medium Sinc Interpolatorで再生出来る。

音質は今までで最高だと思う。

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