Nov 09, 2025

デジタルオーディオはいろいろ変わっていく

今回は、最近のオーディオシステムの音の変化について。
最近のエントリーに、デジタル信号の違いに鋭敏になってきている気がすると書いた。もうちょっと見えてきた内実を記録しておく。

mpdのデジタルボリュームに因る音の劣化に敏感になったみたいだというのは、前回に書いた。
アンプのボリュームを使うほうが良いというだけではなく、どうも、M500(DAC)でもDAC本体のデジタルボリュームを使うほうが良いようだ。以前はmpdのボリュームと差異が感じられなかったが、今はM500のボリュームを使うほうが良い気がする。
どういうことだろうね。

昨今の一般的なネットワークオーディオは、タブレットからWiFi経由でコントロールするのが主流だと思う。
うちはそうではない。LMSのコントローラーとしてウェブブラウザや、mpdクライアントのncmpcppを日常使用に使っているノートPC上で動かしている。
これが、音を出しているときにはウィンドウを閉じたりバックグラウンドに回したりして、カーソルやマウス、キーボードの操作に影響されないようにしたほうが、音が良く安定感があり音色が澄んで聴こえるようになった。
同時に有線LANを外して、WiFi接続にしたほうが良いような気がする。これはおそらく、ノートPCの電圧の変動が有線LANケーブルを通じてLANネットワークに影響するのを防ぐことが出来るからだと思う。
以前から、こういったことが多少は音に影響しているのかな、と思うことはあったが、明らかではなかった。
それがどうやら、配慮したほうが良さそうだということになってきている。
わずかで微妙な差異なのだけど、放任できなくなってきている。
更に、以前なら普段使いのPCでYoutube動画を流したりしていても、そう影響ないなと思っていたのだけど、最近はどうも少し音が曇る。いろいろ日常的なPCの使用に影響が出てきている、というか、そういうセッティングになってるということなのだろうけど。

実際のところ、オーディオのコントローラーと普段使うPCは、分けたくない。
タブレットの操作は嫌いだし、PCを増やすとなると置き場の問題がある。如何にノイズを抑えるかを考えないといけない。

NASとストリーミング(LMS)の比較だと、現在はNASの方が優れた音が出ている。
LMSサーバーのWiFi接続を止めて、以前の場所に有線接続するのも考えるのだけど、置き場の工面が難しい。それに、LMSサーバーの場所を戻したら、NASの音質への影響もあると思われるので、良いかどうかはやってみないと分からない。

かなり大きな変化がある。libsamplerateで384/32にアップサンプリングした音と、44.1/32でCDとビットパーフェクトの音、以前は明らかにアップサンプリングしたほうが良かった。
それが今は、どちらがいい音なのかと問われたときに、答えに窮するぐらい、44.1/32の音が改善している。
そして逆に、384/32にアップサンプリングした音は、どこか冴えない気がする。以前ほどには良くない気がする。以前はあった美点が薄れて透明度が低い感じ、どこか曇りがある気がする。
細かい比較試聴は出来ていない。
大雑把な印象で整理できていないので、焦らず時間をかけて聴かないといけない。
それに、そもそもmpdサーバーが違うし、Back-Endも違うので、これも考慮して検討、試行しないといけない。あと、44.1系と48系という違いがある。これも比較するなら揃えないといけない。
今の音を比較するには、以前のような単純なやり方では済まないだろうという予感がする。

デジタル信号の変化やノイズに鋭敏に反応するということは、デジタルデータをより正確にDA変換しているということなのかもしれない。だから、44.1/32のほうが384/32よりも改善の恩恵が大きいのかもしれない。44.1の方がデータが粗い分、DA変換の正確性への要求度が高いと思われるからだ。
もう一つの可能性として、アップサンプリングを行うmpdサーバーへの負荷がジッターとして音に作用している可能性がある。以前は大きな影響としては現れなかったのが、今の鋭敏な環境だと明瞭になるのかもしれない。
ほんとかな。

ここまで色々書いてきているけど、音源によって印象が違うこともある。mpdのボリュームでもいいじゃないかと思ったり。
やはり、じっくり時間をとって聴き比べないと、間違える。

そういうわけで、とりあえず、mpdサーバーとBack-Endを統一して聴き比べてみた。
mpdサーバーはメインシステムのProBook 450G9。libsamplerateのBestの設定で384kHzへのアップサンプリングが出来る機械ということだと、これに決まってしまう。
Back-Endもメインシステムで、apu2d4。
Back-Endに384、44.1、どちらの信号も受けることが出来るよう設定して、USB出力をRME ADI-2 DACに送る。
mpdサーバーの.mpdconfを切り替えることで、伝送するデジタルデータを変えて比較する。

ここで問題が生じる。
PPAPというオーディオ伝送方式は、ハードウェアに依存する部分が大きい。どう依存するかというと、44.1は100Base-Tが必要で、384は1000Base-Tのほうが良さそうという、そういう感じなのだ。

450G9のLAN経路をスイッチングハブで100Base-Tに設定し、apu2のLANにDMJ-100BTを介在させることで、44.1はなんとかギリギリ安定して伝送する。
これで384が通るか?と思ったけど、なんとか鳴った。昔は100Base-Tだと鳴らなかった。LANのノイズが少なくなると伝送が安定するのかもしれない。
そういう状況で音を出すと、どうも384も44.1も、ともに本領発揮しない感じ。
44.1は機体自体が100Base-Tで動くRas Pi2Bと、古い機械である820G2の組み合わせのほうが生き生きと鳴るような気がする。
384はやはり、1000Base-Tで流したほうが、余裕があるような気がする。100Base-Tだと音が硬くて窮屈な気がする。
Ras Pi2Bと450G9で組ませてみると、これもどうもなんだかしっくりこない。伝送もいまいち安定しないし、雑味が強くなる。

そういうわけで、単純に機械を固定して比較することは、あんまり意味が無さそうなのだ。
普段の使用に際しては、アップサンプリングは850G9とapu2、44.1は820G2とRas Pi2Bで鳴らすことにした。本領発揮できる音で使い分けるほうがいい。
そうした音を聴いて比べると、以前よりもずっと僅差になった。
情報量だけ比べたら384のほうが優位なのだけど、44.1のほうが明瞭で歌心が感じられ、こちらのほうが良いという人も少なくないだろう。

しかし、1年前に試聴したときは、明らかにアップサンプリングのほうが良いという結論だった。
http://blown-lei.net/endive/blosxom.cgi/audio_diary/20240830a.htm

上記の過去エントリーによると、Ras Pi2Bと820G2の組み合わせで44.1から384まで音が出ていたようだ。
当時はLANの伝送速度について意識していない。
当時のシステムは多分、下記エントリーの配置。
http://blown-lei.net/endive/blosxom.cgi/audio_diary/20240715a.htm
なんで問題なく44.1が鳴ったのか考えてみたら、当時はRas pi2BへのLANの経路に100Base-TのスイッチングハブであるFX-08miniを使っていた。恐らくはこれが、44.1を伝送するのにうまく働いてくれたのだろう。

このときは簡単なテストのようなつもりで、主力機の方は使っていない。たまたま偶然、当時は問題なく鳴ったので試聴ができたようなんだけど、820G2ではmpdを最良の設定で動かすことができない。たしか、Bestの設定で鳴らせるのは192までだったと思う。Mediumならたしか、768kHzでも使えた気がする。
この際なので、このときの機械で比較試聴してみる。
同時に、384kHzと、352.8kHzの比較もする。以前は44.1と300台に明確な差があったので、384と352.8を比べることに大きな意味を感じなかったんだけど、今は聴いてみないと分からない。44.1と352.8の音は近いかもしれない。

ちょっと問題がある。
Ras Pi2B(piCore 14.1)ではncatコマンドを2つ同時に走らせることができない。理由は不明。だからサンプリング周波数を変えるたびに、Back-Endの設定を書き変えて再起動しないといけない。試聴の環境としては良くないが、仕方ない。
そういうわけで、設定を切り替え再起動しながらの試聴だ。
なお、mpdサーバーから44.1は100Base-Tで出力し300台は1000Base-Tで出力している。現在のLANでは、そうしないと安定しないからだ。
音源はDeezerのflac音源を使用した。

352.8kHzは、ときどきプチッとノイズが入る。音自体は、悪くはないのだけど何かすっきりしない。384kHzは、352.8よりも、たおやかな感じの音色。やはりプチノイズがたまにある。あまりアップサンプリング再生の環境が良いとは言えないのだろう。
44.1kHz、しっかりした音色で鳴る。意外にも352.8よりもいいような気がする。情報量はやや少ないけど補って余りある安定感がある。安定感というのは音の実体感だ。音のニュアンスに説得力がある。44.1はやや音量が大きいかのように聞こえる。
この結果は何だろう。
384と352.8のギャップは説明しにくい。使いたいと思えるのは、384と44.1ということになる。なぜ352.8がいまひとつ良くないのか分からない。もしかしたら、mpdサーバーである820G2のクロックの性格に因るのだろうか。アップサンプリングに際して、384のほうに何かが有利に働くのだろうか。想像、雑感の域を出ない。
384も44.1より優れていると言いにくい。音数は多いようだけど、それがオーディオ的な心地よさに結び付いていない感じがする。

しかしこれが、850G9とapu2で384を鳴らすと、音色に説得力が宿る。44.1よりも優位性があるように思えるのだけど、前述したが、44.1のほうが好みだという人がいてもおかしくないと思う。384はどこか素っ気ない感じがする。
352.8も聴いてみた。ブラインドでは聴き分けにくいと思うが、384よりメリハリがあるような気がする。しかし384の方が階調が深い。352.8は、820G2の時ほどではないけど、何故か粗さを感じる。なんとなくジッターの影響を思わせる感触だ。根拠は薄弱で理由は不明だ。
384の陰影の深さと44.1の実体感、両方が得られたら良いのだろうけど。

ともあれ、以前のように明確にアップサンプリングしたほうが良いとは、言えなくなった。
それぐらいロスレス音源の再生音は良くなっている。

僕は昔から、ノイズやジッターが多い環境では、良質なアップサンプリングで処理した音源のほうが有利ではないかと言っていた。
今回の結果と、昨年の結果を比較検討すれば、それはそれで、正しいのだと思う。
正しいのだとしても、では良質な環境ではハイレゾに意味がないということに、なるだろうか。それは後日に譲るとして、アップサンプリングデータの再生環境について、考えたほうが良いかもしれない。本領発揮は出来ていないのではないかという気がする。

ここで、突然だが、そもそもは上流サーバーをUPSにつないだことが現在の懸案の要因だということに立ち返る。
NASをUPSにつなぐのは致し方ない。
しかし、mpdサーバー(Tiny Core OSで電源ラインでオフ可)やスイッチングハブをつなぐ必要性はない。

ということで、UPSからそれらを外し、電源経路を分ける。
複数の音源や設定を変えての音質評価はこれからだけど、明らかに音がスッキリした。384、かなり本領を発揮している。
NASは、このままでいいのかな、仕方ないかな。
下流サーバーはUPSを外したら音が悪くなるのが、やはりこうなると謎だ。
44.1との比較。
384は音楽の色が増して、44.1のほうが地味になった。これも意外。まさか逆転するとは。
44.1は、静かになった。前のほうが派手で良かったという人もいるかもしれない。しかし、落ち着いたかな。音が大きく聴こえていたのが、なくなった。細かいニュアンスが出るようになった気がする。
情報量は、かなり僅差。しかし音の間の空間の情報に差が出る。そういうデリケートな表現に384の優位性が出る。そう、こういうところが聴こえるようでないと、384にする意味はない。

それにしても、384と44.1、両方とも良くなった感じ。
そして、ブラインドでは、かなり区別が難しいレベルになったと思う。

LANmuteだけど、抜け防止ピンをカットしてみた。
うちではやはり、切ったほうがいい感じだ。僅かだが荒れみが減る。
LANポートによっては、抜け防止ピンをカットしたらコネクタがポートから抜けて留まらなくなることがあるので、いらないLANケーブルのピンを切って挿しても抜けずに使えるかをポートごとに確かめないといけない。これは要注意なので記載しておく。

あと、アップサンプリングしないハイレゾ音源を聴いて比較する必要がある。まだできてない。

こうなってくると、以前はなんでノイズの影響が少なかったのかということも気になる。
ノイズが多い環境では、相対的にノイズの影響を受けにくいということはあるかもしれない。1年前のノイズが多かったであろう環境でも、そこそこの音が鳴っていたのは不思議だ。いや、アップサンプリングしかいい音に聞こえなかったという意味でも、それはいい音ではなかった、足りなかったのだろうかなあ。
それは今の音を聴いて思う。
簡単にそういうこと言っては誤るんだけど。
1年前の記憶との比較だから、曖昧になるのも仕方がないところがある。

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