Sep 16, 2023

ジブリの「君たちはどう生きるか」を俺はどう楽しむか(レビューその3)

さて、3回目のレビューなんて、まさか書くとは思わなかった。
間が空いてないし前回のに追記してもいいかと思たんだけど、長々なるし、いよいよ読みにくくなるだろうしで、別枠にした。
といっても、今回は少なめなんだけど。

過去のレビューはこちら。
ジブリの「君たちはどう生きるか」を観て
http://blown-lei.net/endive/blosxom.cgi/letterbox/20230818a.html

ジブリの「君たちはどう生きるか」2回目を観て(風立ちぬとアーヤと魔女もちょびっと)
http://blown-lei.net/endive/blosxom.cgi/letterbox/20230914a.html

20日、追記。
うちのレビューを読もうかという人へ。書かれた順番に読まれることをお勧めする。

最初のは「混乱して、分からんことがあるなりに書いてるなあ」というレビュー。
2つめは「見落としを確認して、言い訳を書いてるなあ」というレビュー。
3つめは「幻惑されてたことに気付いて、多少は考える頭が戻ったかなあ」というレビューだ。
しかし、内容は概ね重なってないので、3つでセットだし、そのほうが内容を理解しやすいと思う。

なお自分用のメモでもあるので、今後も何か思い付いたら補足を追記する。

27日、追記。
4つめのレビュー。いちおう、まとめ。
http://blown-lei.net/endive/blosxom.cgi/letterbox/20230927a.html

なんというか、初回観て、2回目観て、ずっと、何かしら考え続けてるんだね、僕は。
こんなん分かんないから、で終わらせたっていいのにさ。

たぶん、考え尽きて気が済むまで、止まらない気がする。
穿り返さないでいられないのは性分だろうから、しかたない。この映画でどう楽しむか、やってみるか、ということだ。
以下の雑文は、個人的な読み取り、解釈、感想文で、駿の思惑とは全く異なる可能性があるので(まあ、今迄のもそうだが)、注意喚起しておく。
アニメなんてものは観た人が勝手に面白がり、曲解でも何でもすればいいものだと思ってるので、宜しくお願いする。

真人とひみちゃん画像

さて、前回レビューを挙げた後、気になることが出てきた。
「君たちはどう生きるか」って、初版当時には真人は生まれてたのか?、ひみちゃん、もとい、ひさこさんは、何歳ぐらいだったんだろう。
その辺、時系列はどうなってるんだろう、ということだ。
年令など適当に目星をつけて、軽い気持ちで年表を作った。

そしたら、さらに気になり始める。
ひみちゃんも、火事で母親を亡くしてる。
多分それが、大伯父の世界に入って戻れなくなった原因だ。
真人と同じ年頃だった頃で、というと、1920年代前半、、何があった、、、 関東大震災だ。

2024.03.20. 追記。
3月17日に3回目を観て気付いた。「ひみちゃんも、火事で母親を亡くしてる」という上記記述には、根拠が無い。
これは僕の聞き間違いか何かで生じた勘違いで、ひみちゃんの母親の死因を特定することは出来ない。
だけど、ひみちゃんの母親が関東大震災で亡くなっているのではないかという想像は、していけない、というわけでもないと思う。以下の文面はそういう解釈で書かれたということにしておく。

以下、その年表。

22日、追記。
他のサイトのレビューで、サイパン陥落の1944年に疎開したと書かれているのを見た。
僕はそれは気付いてなかったので、年表を修正することにした。

年代・出来事 ひさこさん 真人
明治維新
石が降ってくる
1923
関東大震災
13、4才?
1年神隠しになる
20才頃、結婚 誕生
1937
盧溝橋事件
君たちはどう生きるか、初版
27、8才? 5、6才?
(1941.01. 駿 誕生)
1941.12.
日米開戦
1944
1943
火事で死去
34、5才?
1945 終戦
1944
13、4才?
塔の下の世界に行く
1947 東京に戻る

今年は100年になるというので、テレビで関東大震災の特番をやってて、いくつか見た。
どのようなものだったのか、正直、殆ど知識は無かったんだけど、大変恐ろしい災害だったこと、そして虐殺のこと、のちの人心にも大きく影響したであろうことが、この年令になって特番を見て、ようやく知った。
関東大震災は「風立ちぬ」でも取り上げられている。そういう視点があるか無いかで、風立ちぬを見ていても見え方が違う。

今回、年表を作って、ちょっと、背筋が冷たくなった。
ひみちゃんは、あの災害に巻き込まれて、母親を失ったのだ。

なんだろうね、駿は何でこういうところを隠すのか。
どこかで誰かの台詞に挟み込んでおけば、ずいぶん分かりやすくなるのに。
まあ、素人の言うことだが。

さて、こうなってきたら、ということで、他にも書き込んでみた。
真人が大伯父の世界に呼ばれ、あの世界が壊れたのは、終戦の年だ。あの世界が壊れて、その後、終戦になっている。

年表を修正したので、このあたりの文面は間違いということになる。
よくよく考えてみたら、終戦の夏に戦闘機の風防を増産しているわけがないのだ。
書き直すのも面倒なので、そのままにしておく。

あの大伯父の世界は、明治維新頃から終戦まで、存在したということになる。
悪意がある、石の力で。

あの世界、死者がたくさんいるとキリコさんは言った。
海に浮かぶ多くの船、あれは、軍艦だ。各々に死んだ船員がいるのだろう。
紅の豚で出てきた、高い空を雲のように浮かんで飛んでいく戦闘機たち。あのイメージだ。

そうか、ヴァルハラだ、、、
https://en.wikipedia.org/wiki/Valhalla

wikiの日本語版から引用すると「この宮殿には、540の扉、槍の壁、楯の屋根、鎧に覆われた長椅子があり、狼と鷲がうろついている」とのこと。
いや、ペリカンとインコなんですが。
扉はたしかにいっぱいある。しかし槍の壁、盾の屋根は覚えがない。

だとしたら、
ワラワラたちは、なんなのか。
死んだ兵士たちが、また生まれていく(もしかしたら、お国のために死ぬために)。
そうだとしても、生まれゆくことは祝福されること、かな。

ワラワラに魚を食わせるキリコさんに、真人と同じ悪意の傷がある。

明治から終戦、日本は富国強兵。
ペリカンは言った、何も食うものがない、ワラワラしかないと。
一方、インコ達は豊かだ。赤ん坊を孕んでるもの以外は、なんでも食うらしい。赤ん坊は大事だ。お国のためなのだから。
それ以外の者は、食ってもいい。何を食ってるんだろう、、、
なにしろ、ペリカンが食えないものを食っているのだろう。

ワラワラ画像 ペリカン画像

ペリカンは地獄だという世界で、インコはのびのび暮らしている。

あの世界がそういう世界だとして、
ならば、石に含まれた悪意は、たとえば、軍国主義、かな。
悪意がない13個の石は、遠くを探して持ってきたと大伯父は言った。なんだろうな、、、

こういうのは、パズルを解くような面白さがある。
それが、実際に作品を理解する助けになるかどうか分からないけど。
それに、理解出来たから良いというものでもないだろう。理解した結果、つまらないということになるかもしれない。
まあ、そうなったら、なったってだけで、大した意味はない。
しかし、せっかくなので、ちょっと考えてみた。

年表に戻って、ひみちゃん(子供の頃のひさこさん)が神隠しにあっていた期間が1年。
そして、ひさこさんが亡くなって、真人が塔の下の世界に行くのに1年だ。
一致している。

たぶん、ひさこさんが亡くなってから真人があの世界に行くまでの期間によって、ひみちゃんがあの世界で過ごした期間の長さが決まったのだ。
時期が異なるけど、そういうのが問題になる世界だとは思えない。

真人の夢で、ひさこさんが亡くなる時に炎の中から真人に何か言う。
2回観たのに、よく覚えていないのが残念だ

なんでひみちゃんが火を操れるのかということになると、ひさこさんが助けていると考えたら辻褄が合う(あうのか)。
ひみちゃんの母親も、もしかしたら噛んでいるのかもしれない。

成り立つのかね、こういう構造、、、

エントリーアップして早々に追記。
ひみちゃんが、真人から母が火事で死んだと聞かされても驚きもしないのは、ひさこさんと一体化しているからだ。
ようやく気が付いた。ずいぶん時間が掛かってしまった、、、気付いたら、簡単な話だと思う。なんで気付かんかったかな。

8月19日、エントリー末に筆を置くとも書いたし、ほどほどにしたいんだけど、更に追記。
ひみちゃんとひみこさんが一体化していることに充分に意識が向かなかったのは、
僕にとって、それは気持ちが良くないことだったからだ。

駿作品が内包するマザーコンプレックス表現については、過去に多くの論者によって語られてきている筈だ。
そうした論説を、僕も読んだことはあるが、ぴんと来なかった。そういう見方もあるんだね、という受け止め方だ。
君生きは、過去作品よりも、母子関係を明確に題材にして作られている。そこに触れなければ、もしかしたら理解できない、かもしれない(まあ、理解のしようなんて個々人の勝手でいいとも思うんだけど)。

ただ今回、あからさまに作られた作品に触れることになり、
今日、初めて自分でも気付いたが、どうもそういうのは、僕は苦手らしい。

例えばエヴァンゲリオンなら、物語の中の話、あるいは、碇君やゲンドウの個人的な話、として、客観視できるというのか、突き放して自分とは関係のないこと、というニュアンスで作品に触れることができた気がする。
君生きは、そうではない。
気が付いたときの違和感の強さが、エヴァよりずっと強いのだ。

えげつない言い方をすれば、気が付いたら母子相姦させられていた、とでもいうような。
エヴァは、そういう話だという前提が予め観客に共有されている。
君生きにはそれがない。
なんだか、わけがわからないままに、巻き込まれた感触がある。
気付ける人は映画を見ながら気付くんだろうけど、僕のようにそうした論説がぴんと来てなかった人には、充分な免疫がないのだ、と思う。

いや、それだけじゃないかな、、、
若い頃の方が違和感少なく受け止められたのではないかという気もする。
より母親と近かった子供の頃の感覚を、まだ心の底が覚えていたかもしれない。

それにしても、僕がこのことに2ヶ月気付いていなかったことが、意外だった。
でもまあ、しかたがない。
この映画を楽しむには、いろいろ骨がいるということだろう。

21日、追記。
そういうわけで、僕が思っていた以上に、ひみちゃんとひさこさんが一体化してるということなら、
ひみちゃんが、真人から「母さんは火事で死んだ」と聞いても、けろっとしていて不思議はない。分かりきったことだからだ。
もしかしたら人によっては、ひみちゃんは母の化身そのものだと最初に思って、実は過去から来た若い頃のひさこさんで帰らないといけないということに驚くかもしれない。

一方で、真人は、どうやらひみちゃんを母親だと認識したまま、であるらしい。
劇中、真人が得られる手がかりは、ひみちゃんの「(なつこさんは)妹だ」という台詞だけだ。これを聞いても真人は驚きもしない。
真人も、最初から、分かっていたのかもしれない。
むしろ、分かってるから、母は火事で死んだと言えるのだ。

あそこは、そんなでも、まったくおかしくない世界だ。

2024.03.20. 追記。
3月17日に3回目を観たのだけど、「真人は驚きもしない」と上に書いているが、ちょっとだけ驚くような、「いもうと?、、」とつぶやく場面がある。でも、それだけで、だからどうということもなく、話は続いていくのだ。なんというんだろう、この映画の登場人物たちは、一を聞いて十を知るような理解力、認識力を持っているとしか思えない。台詞で説明をしない。観客は、おいてけぼりなのだ。

さて、、、
なんでこんな、分かりにくい状態にしてるのか。
わざと、分からないようにしてると、前のエントリーで書いたけど、、

自分を顧みて思う。
母子相姦的な話であると、明確に分かったら困るから、分からなくしてるのだろう。
分かったら困るのは、観客だけじゃない。むしろキャラクターたち自身が、困るのだ。困りまくるに違いない。

駿は、この世界を構築するために、とてつもないバランスをとって脚本を詰めているんだと思う。
それこそ、大伯父が積み木を積むがごとく。

どっひゃー、、である。

番外っぽいがキリコ婆さん。1945年に75才ぐらいだとしたら1870年生まれ、大日本帝国憲法の発布が1889年。このとき19才。1873年、徴兵令。婆さん、3才。
ていうか、このぐらいの婆さんは、ふつうに子供を戦争にとられてるのだ。

キリコさん画像

話は変わる。

僕は宮崎作品に子供の頃から接してきているが、好きなキャラを選べと言われたら、コナンとラナになる。
駿は、より複雑な内面を持つ興味深いキャラを何人も生み出してきているが、厳選して選べと言われたら、僕の場合は、そうなってしまう。

今回、真人とひみちゃんは、なんだかその2人が重なるのだ。
キャラの年令がほぼ同じなことが理由ではない。それならラピュタも当てはまる。
性格が似てるとは、全く思えない。のだが、、

真人の「なつこさんを連れて帰る」という、あの妙な一途さが「ラナを返せ!」と叫ぶコナンと妙に重なる。げしげし弓矢を作ってしまう戦闘力の高さも重なるのかな、なんか、決断が早い。実戦向きなのは戦中の子だからだろうか。

ひみちゃんとラナって、どう重なってるんだろう、、、特殊能力があるとこか。
いや、じつは囚われの身で、大伯父というラオ博士がいて、背中を押されて、真人と帰っていく。そういう構造が生む何かが、何かなのだろう。上手く言えん。

こんな感じかな、、、

こういうのは、映画を楽しんでると言うんだろうか。
囚われてるのも同然な気もする。しかし、自分の意志で考えたり調べたりしてるのでなあ、、、
しかし、この辺で、一旦かな、筆を置くことにする。

9月18日、追記。
一部、改行を修正し、文面上の内容の重複を削除した。
更に追記。彩りでいくつか画像を表示することにした。ジブリから提供されている。

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