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Mar 13, 2007
経団連の提言、民間も国も著作権論議
遅ればせながら。
2月に経団連が著作権についての提言を出している。
デジタル化・ネットワーク化時代における著作権法制の中長期的なあり方について(中間とりまとめ)−産業活性化のための複線化システムの提案−(日本経団連)
報道はこちら。
経団連、著作権保護に強弱を——法制見直し提言(nikkei net IT-PLUS)
著作権処理ルールの在り方,経団連の報告書は多様化の引き金になるか(ITpro)
同じ日経なのに、何でしょこの視点の違いは。
それにしても、あんまりネット上では記事がないんでしょうかね。
紙の誌面ではどうなんでしょうか。
ともかく。
国がパブリックコメントを募集してるこの時期に合わせて?こうした内容の提言がなされてる、ということで。
ざっと読んだ感じ、権利保護と利活用促進を同時に論じている。
権利保護一辺倒ではない。
頷けるとこもあれば、そうでないとこもある。
しかし、かなり柔軟な考え方を盛り込んできていると思う。
昨日12日には、著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラムの第1回公開トークが都内で開催されている。
ネット記事にリンク。
著作権保護期間は延長すべきか--賛成派、慎重派それぞれの意見とは(cnet japan)
「著作権保護期間、作家が選べるシステムを」——延長めぐる議論再び (1/2)(ITmedia)
国も著作権延長について委員会を設置するとか。
文化庁、著作権の保護期間延長問題など議論する小委員会設置(internet watch)
ここでも、経団連の提言と重なるような意見が出てきている。
提言を読んでるのかな。いや、そんな付け焼き刃な話のはずがないな。
ITmediaの記事に載っていて、ちょっと気になったのが、著作権について「国会図書館の書の著作者79万人すべてをカバーすることに意味はあるのか」とか「一般ユーザーによるネット上の創作物はいわば「垂れ流し」で、プロが作ったコンテンツとは切り分けて考えるべき」とかいう意見。
それってどうよ。
別にネット上に書いてるから言うんじゃないよ。
「著作権の登録制度を採っている米国では、最初の登録の28年後、数ドルを払って登録を更新する仕組みになっているが、更新された著作物はわずか11%だった」という話も載っている。
多くの著作物が「垂れ流し」で玉石混交で石だらけというのは、ネット上かどうか、プロが作ったかどうかは、全く関係がない。
読み応えがあるものはあるし、ないものはない。
未熟なものを創っていた人が優れたものを創るようになることもあるし、逆もある。
自らの著作物が「石」だと思って創作する者などいない。
何を根拠に線引きするのか。
それが「文化の発展」に役立つとでも?答えはわかりきっている。
プロではないからアマチュアのコンテンツを差別すべきだなんていう意見は、全く納得がいかない。
それとも、現状の業界を保護して欲しいってことが本当はいいたいんじゃないのかい?
ネットの時代は、本音を語った方がいいこともあると思うよ。
Mar 03, 2007
3月12日にシンポジウム
メモでリンク。
著作権保護期間延長問題を考えるフォーラム 公開トークイベント「なぜ、いま期間延長なのか — 作品が広まるしくみを問う」(thinkcopyright.org)
日時
3月12日(月) 午後6:30 - 8:30
場所
慶應義塾大学三田キャンパス東館6F Global Studio(120席程度)
詳細はリンク先で。
Feb 26, 2007
Winnyの危険性
2月17日、大阪弁護士会館で、シンポジウムが行われていました。
主催は大阪弁護士会 刑事弁護委員会、情報ネットワーク法学会、情報処理学会。
情報処理技術と刑事事件に関する共同シンポジウム「IT技術と刑事事件を考える−Winny事件判決を契機として−」(情報処理学会)
ネットニュースにリンク。
「Winnyは既に必要な技術ではなく、危険性を認識すべき」高木氏講演(internet watch)
とても分かりやすい記事で、高木氏の論調は非常に納得できると思いました。
刑事事件被害者のプライバシー情報など、本当にあってはならない流出事件が繰り返される現状を見るにつけ、流出させないように注意しようって言うかけ声じゃどうにもならないんだな、と思っていました。
人間のすることだからどうしても完璧にはいかない。
じゃあWinny規制なのか。
それが必要だとしても、先立って金子氏に法的な責任を押し付ける必然性があるかのような考え方には違和感を感じる。
危険な人間が作った危険なソフトだから規制とでもいうような流れがあるようで。
そんな気持ちが悪い考え方で進んでいいのか。
高木氏は「作者が幇助罪で処罰されるのはおかしい」という意見とWinny自体の問題は独立して考えるべきだと主張する。
これだけのことで、ずいぶんスッキリする。
聞けば当たり前のことなんだけど、その当たり前が出来ていたと言えるだろうか。
他、気になったとこを引用。
- 高木氏は、当時Winnyについて議論していたコミュニティにおいて、「Winnyは著作権侵害よりもむしろ、名誉毀損やプライバシー侵害にあたるような映像の拡散が止められないといった観点からの懸念がある」と発言しており、他の関係者もこうした認識を持っていたと思うとした。
- Winnyについて「人がいやがるようなことをする輩が現われた時、たとえそれが多くの人が望まないことであっても、それを誰も止められない」ソフトであると説明。
- Winnyについて、現在では他の技術も存在することから「既に必要な技術ではない」と主張する。
- squirtの仕組みでは、著作権者などからファイルの削除要求が来た場合には、それに応じなければ著作権侵害の意図があると見なされてしまうためで、「結局、著作権侵害を続けたいと考えている人が多いということではないか」とした。
- 米国などと日本の状況を比べた場合には、「日本では送信可能化権の整備や刑事処罰などを進めたことで、逆にWinnyのようなソフトが必要とされる結果となってしまい、同時に流出したプライバシー情報の流通も止められなくなってしまった」と指摘した。
- 「Winnyを使わなければ大丈夫」というのも誤りで、Winnyのプロトコルは既に解析されており、ウイルス自身がWinnyプロトコルでファイルを放流するという可能性を考えれば、誰にでもファイルをWinnyに漏洩させられる危険性があるとした。
- 依然として続いているWinnyによる流出やその報道に対しては、「まるでお祭り騒ぎ。見物客は他人事として楽しんでおり、被害者は同情されない」として、こうした状況は危険であると指摘。
- 高木氏は再度注意として、この講演はWinnyネットワークと同種のものがこのまま社会に存在し続けることについての有害性について語っているもので、作者が逮捕された事件とは独立して議論が必要だと説明。Winnyは著作権侵害の目的以外では既に代替手段があり、Winnyがウイルスやワームの流通プラットフォームになってしまっているという現状からは、ウイルス頒布の処罰化が現在検討されているのと同様に、Winnyネットワーク等の稼動(Winnyの使用)の違法化についても検討すべきだと主張。「Winnyネットワーク等」の定義をどうするのかの線引きは難しいとしながらも、検討は必要だと考えるとした。