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Jun 25, 2017
ハイレゾとアップサンプリング、384kHz周辺をいろいろと聴いてみた(7月2日、追記)
最近はCDリッピング音源をras pi2で24bit/384kHzにアップサンプリングしてi2sDACに出力して聴くことが多い。
情報量が多くなると同時に音色がまろやかで音場空間も広く、192kHzまでのアップサンプリングとは一線を画した音になる。
なぜこんな差が出るのかははっきりしない。
時間軸の情報量を増やすことが正確な再生に必要とは思うのだけど、DACチップの性格なのか、サンプリング周波数自体に意味があるのか。
以前から気になっていたのが、アップサンプリングした音とハイレゾファイルにどの程度の差があるのかということ。
CDリッピングファイルを、TASCAM Hi-Reso Editerで192/24化したファイルとメモリ再生で比較したことがある。このときは192/24化したファイルの方が音がいいという結果だった。その後、じゃあ良質なアップサンプリングを使えばCDリッピングファイルを192/24に近い音で聴けるんじゃないかと気付いて、以降はアップサンプリングして聴いている。
だけど、ハイレゾファイルの音とCD音源をアップサンプリングした音の比較は、できていないままだった。
今回はそれをやってみようということ。
音源に使うのは、以前にも使ったPierre Boulez the Complete Columbia Album Collection CD40、Bartok / The Wooden Prince の一曲目「Introduction」。
44.1/16と192/24のファイルを使う。
比較したのを以下に表にする。なんとなく適当に10段階評価してみた。
44.1/16 | 5点 |
192/24 | 6点 |
44.1/16を192/24にアップサンプリング | 7点 |
192/24を192/24にリサンプリング | 7点 |
44.1/16を384/24にアップサンプリング | 8点 |
192/24を384/24にアップサンプリング | 7点(クリップノイズあり) |
192/24のファイルはどうも、44.1/16を192/24にアップサンプリングしたのに及ばない感じ。しかも、192/24であってもlibsamplerateでリサンプリングした方がいいような。
ということは、Hi-Reso Editerによるアップサンプリングよりlibsamplerateによるほうがいいんだろうか。そもそもHi-Reso Editerがどのようなアルゴリズムでアップサンプリングしてるのか、よく分からないということがある。
あと、ファイルが大きくなるとアップサンプリングの負担が大きくなるようで、これは扱うデータ量が増えるので当たり前かも。
実は数か月前、mpd+libsamplerateの出力からハイレゾファイルを作ろうとしてHDDを飛ばすという惨事に至ったことがある。OSから再インストールして環境再構築は大変だしデータは無くすしで、それからは怖いのでやってないんだけど。
本当はファイル同士で比較した方がいいんだろうけど、できていない。
そんなこんなで、自作ニセレゾで比較するというのには限界があるのかと感じ始めた。
自分でもそれが適正な品質なのかどうかが分からない。
そこで、NAXOSから「天上のオルガン」と「天使のハープ」を買った。それぞれ300kHz台のハイレゾ音源と44.1/16のファイルが売られている。これなら自作のファイルよりも比較しやすいんじゃないだろうか。
というわけで比較の顛末。
まず、天上のオルガンを買った。
http://item.rakuten.co.jp/naxos/c/0000000941/
NAXOSの解説がこちら。
http://naxos.jp/digital/kogakki-organ
384/32と、44.1/16をlibsamplerateでアップサンプリングしたのを比較。
それが、どうも腑に落ちない。
具体的にはうまく言えないけど、なんだか音が違うような気がして単純に比較できない感じなのだ。音量はわずかに44.1/16のほうが大きい。
どうなってるんだろう?と思っていたら、下記の記事を見つけた。
「天上のオルガン」384kHz/32bitマスターを聴く - Phile-web
http://www.phileweb.com/news/audio/201403/14/14256.html
この記事によると、Pyramix(384kHz/32bit)とSequoia(192kHz/24bit)の2つで録音を行った、とある。もしかしてマスターが違うから音が違うということなのか?と思ったが、この記事内容からははっきりしない。
192kHzと44.1kHzを比べてみるべきかとも考えたけど、出来ていない。
7月2日追記。
192kHzと44.1kHzを聴き比べてみたけど、同じ音源だとして違和感が無い。
それだけをもって44.1kHzのマスターが192kHzで384kHzではないとは言えないとは思うけど、まあ、自分としては、そうじゃないかなということにしておこうと思う。
そこで天使のハープを買った。
http://item.rakuten.co.jp/naxos/nyzc-27266/
http://item.rakuten.co.jp/naxos/nyzc-27268/
NAXOSの解説がこちら。
http://naxos.jp/digital/koggaki-harp
352.8/32と、44.1/16をlibsamplerateでアップサンプリングしたのを比較。
こちらは、何だか違うという感じがない。音量は352.8/32のほうがむしろ大きく聞こえる。
これなら比較しても良さそうかな、と思えた。
結果はというと、44.1のアップサンプリングよりハイレゾ音源の方が繊細で耳あたりがいい鳴り方をする。アンプのボリュームが上がっていきやすい。ある意味、順当な結果になって良かった、という感じ。
2021.03.17. 今更だけど追記。
結果はというと、44.1のアップサンプリングよりハイレゾ音源の方が繊細で耳あたりがいい鳴り方をする。アンプのボリュームが上がっていきやすい。ある意味、順当な結果になって良かった、という感じ。
この文面を読み返すと、アップサンプリングよりハイレゾ音源の方がずっと良かったかのように読み取れる。
実際にはそうではなく僅差だった。通常の音量では差が聴き取れなかったので、大音量にしたら僅かにハイレゾのほうが耳あたりがいい、という感じだった。
当時の気持ちとしては、差がほとんどないという文言は書きにくく、上記のような文言になった。
訂正というのか、説明を書き加えておくことにする。
実際のところ、こんなので比較が出来たことになるのかな?という気持ちはあるんだけど、高音質マスターからのダウンサンプリングでファイルを作るというのは色々大変なのかもしれないというのはあって、違うんじゃないのかとかあんまり厳しいことは言っても詮ない話じゃないかという考えを最近は持っている。
だから、この辺で良しとしようと思う。
ここまで比較は、moode audio3.1 + i2sDAC によるもの。
現在、moode audioはバージョンアップして10ドル必要になっている。他にmpdでi2sから384kHz出力出来るようなRas pi用のディストリビューションはない。usbなら簡単に出せるのだけど。
そこで、usb出力での384kHzも試してみようかと思うようになった。
usb DACが要る。4千円のi2sDACと比較するんだから、あんまり高価なのはどうも、と思って下記の機種にした。
http://ifi-audio.jp/nanoidsdle.html
ifi nano iDSD LE、戦略価格モデルだそうだ。シンプルなusb DACで384kHzを受けることが出来る。
これとi2sDACを比較してみる。
音源は、44.1/16をlibsamplerateで384/24にアップサンプリングする。
デジタルトラポを何にするか。
もう手軽なのでいいやと思ってpiCore7にした。
piCoreはバージョンアップされててpiCore9がリリースされているんだけど、こっちには現時点ではtczにmpdもdoxygenも用意されていないので、手軽にmpdサーバ用途で使えるpiCoreは7だけだ。
これにiDSD LEをusbケーブルでつなぐ。
最初はまともに音が出なくて、ああ、これも駄目かと思ったが、数日後には普通に音が出るようになっていた。
どうも充電が出来てなかったからじゃないかと思う。
音の比較。
まずpiCore7にNASをマウントした場合。
僕などは過去の経験のせいで、これで普通に音が出るだけでも感心してしまうのだけど、不具合なく、そこそこ聴ける音が出る。
しかし音質はi2sDACのほうがいい。
Ras Piではusb出力が不利な上に、i2s出力自体の優位性があるのだろう。
次にpiCore7でメモリ再生する。NASはアンマウント。
これであっさりi2sDACの音を越える。
i2cDACでは僅かに再生音に滲みがあるが、iDSD LEの音にはそれがない。透明感が高く静謐で、音楽への命の宿り方が違うとまで感じる音がする。
やっぱりRas Piでusbならメモリ再生じゃないといけないんだな、とか思ったりしたけど、どうもこれがfireface UCX、メモリ再生で192kHzの音も越えているっぽい。少なくとも同等以上だと思う。
ここらは突っ込んで比較試聴を繰り返したわけじゃないし、比較するならするでいろんなファクターがあるので注意しないといけないとも思うので、はっきりとは言えない部分がある。
7月26日、追記。
少なくとも同等以上、とか書いたが「以上」ではないみたいだ。よくよく聴き比べないと判断が難しい。
しかし、こうなってくるとi2s出力を使いやすいからという理由でras piにこだわる理由がなくなってくる。
他のハードならもう少しましなのか?
いや、それでもメモリ再生が優位というのは変わらないだろうし、どうしようかなあ、というところだ。
Mar 28, 2017
Fishmans がリマスターで再発されたので1stアルバムを聴いてみた(2017.09.05.追記あり)
今回は音源の話。
フィッシュマンズのデビューアルバム「Chappie, Don't Cry」は1991年にメディアレモラスからリリースされた。
当時、僕はこれを買ったのだけど、その価値にあまり気付いていなかった。オーディオ的には、むしろショボいと思っていた。
今にして思えば入手当時は、このCDのポテンシャルを引き出すに充分な再生環境ではなかった。
所謂ミニコンポで、スピーカーのセッティングの工夫とか何やら初歩的な細工をしながら聴いていたと思う。
その後、オーディオ環境は変遷し歳月は流れ、このCDの録音の良さに気付いたのは多分、2005年頃を過ぎてからのことだ。というのは「空中」「宇宙」というベスト盤がリリースされたちょうどその頃から、またフィッシュマンズを聴き始めていたから。
2005年頃には、現在のコンポに近い構成だ。上流がVRDS-25xsとOdeon-Liteでアンプとスピーカーは同じである。このサイトの過去記事を読み返してみたら、この頃にAirMacExpressを使ったPCオーディオも始めている。
そうこうする中で、何の気なしに聴いていて気がついたのだろうと思う。
この作品からは、J-Popらしからぬ生々しい音声が聴ける。
その音質は、少なくとも高音質の洋楽作品と同等レベル以上と思っている(ファンの欲目は、ないと思うけど、どうだろう)。
でも、このCDが高音質だという話は、僕は自分のサイトとamazonの僕のレビュー以外では見たことがない。どういうことだろうと思うことがあるんだけど。
おそらくは真価を引き出す再生が難しいのだ。
どんな音なのかというと、自然な録音だ。
高い声で歌う20代男性の生の声がありのままに聞こえてくる。曲によってはわずかにリバーブ処理がかかっているが、かけてないんじゃないかなという曲も多く、生々しい。楽器の音もそんな感じだ。
洋楽で高音質といえば、Walter Beckerの「Circus Money」が思い浮かぶんだけど、楽器や声の音声が、粒立ちがいいというのか、くっきりと聞こえてくる。21世紀の高音質という感じ。たぶんミニコンポでもそこそこしっかり鳴るように配慮されている。スタジオでの加工は前提だし、それがあってこその高音質という感じ。
対して「Chappie, Don't Cry」のレモラス盤はというと、ちょい聴きすっきりしない。粒立ちもいいようには聴こえない。くぐもって聞こえる。なにしろ最近のCDと比べると録音レベルが低いのだ。じゃあ音量を上げたらいいのかというと、たぶん再生能力が低いコンポでは大きな印象の変化はないだろう。
しかしコンポの性能が上がってきたら、前述したような生々しさが顕わになってくる。飾りがない、まさにそこで歌っているようなニュアンスの歌声が立ち現れてくる。極端な言い方になるけど、ポップミュージックのスタジオ録音なのにフィールドレコーディングした民謡のような佇まいの歌声だと思う。楽器の音もそんな感じだ。
昨年にリマスターされて再発になったと、遅まきながら知るに及ぶ。
以下、参考サイトのアドレス。
http://mora.jp/topics/interview/fishmans-hires/
フィッシュマンズハイレゾ化記念 リマスタリングエンジニアに訊く Posted on 2016年10月19日 mora.jp
http://ototoy.jp/feature/2016022400/1/
クラムボン、過去13作品DSD配信開始──名マスタリング・エンジニア、木村健太郎に訊く"良い音"とは OTOTOY
なんというか、エンジニア氏の悩みどころが垣間見れるインタビューだ。
あんまり音圧を上げると音が変わるけど、配慮せざるを得ない部分もある、、、
どうなったのか気になり始めた。
初期レモラス盤(とおそらく同等のポニーキャニオン盤)は今後なくなっていくだろうし、今後の流通は今回のリマスター音源が中心になっていくだろうから、、。
CDを購入して比較した。
僕の印象では、21世紀のスタジオから生まれた音になっている。エンジニア氏が言うように環境に左右されない、聴き手に届きやすい音になっていると思う。音圧は上がってるけど、それでも出来るだけオリジナルの音を生かそうとした結果が見えるように思う。うちのシステムでも強く、くっきりした音を聴くことが出来た。
その分、レモラス盤で聴くことが出来た生々しさは、ごく僅かに後退している。フィールドレコーディングの音からスタジオの音になったという感じ。つまり、J-Popらしからぬ生々しい音声から、J-Popとしてはかなり高音質な作品になった、と思う。一般的なオーディオシステムでも扱いやすいだろう。一番変化を感じる曲が「夏の思い出」。もともと全体的にぼんやりした音像(わざとだとおもうけど、あまりその意図が成功しているとは言い難い気が正直していた)だったのが、くっきりした。佐藤伸治の声もクリアに。これは、はっきりと聴きやすくなった。
この曲以外は、基本的に原曲の良さが生かされているリミックスだと感じた。
ハイレゾは、今回は買っていない。
いずれ買うとしたら後期のほうだろう。アルバム単位じゃなく曲単位からかな。
今回の「Chappie, Don't Cry」リマスターは僕は良かったと思った。
今更だけど追記。
ハイレゾ化でフィッシュマンズの音楽にもっと近づける - 茂木欣一がそのサウンドについて語る - Phile-web
http://www.phileweb.com/review/article/201611/30/2320.html
自分だけが高音質だと思う音源といって他に思い当たるのは、The Whoの「四重人格(Quadrophenia)」だ。
この作品、1985年にCD化されたんだけど、僕自身が入手したのはずっとあとのことだ。どこを探してもなかったからだ。
最初に入手したのはサントラのアナログ盤で、これじゃない感が漂うものだった。
ようやく入手した日本盤CDはしかし、聴いて「しょぼいなあ」と思った。納得がいかなくて輸入盤も買ったが同じ音でがっかりしたものだ。両方とも今だに所持しているけど。ちゃんとハイファイに鳴らしたら目眩くばかりの音像空間が広がると気付いたのは、これも今のアンプとスピーカーになってのことだ。スーパーツイーターを付けた頃じゃなかったかな。
このCDも、僕以外の人が音がいいといってるのを聞いたことがない。どういうことだろうかと思うことがある。
この作品は1996年リミックスされた。それが2011年にリマスターされたCDがデラックスエディションとしてリリースされて、僕はこれも入手している。
リミックスの時かららしいんだけど、ボーカルのロジャーダルトリーの声がかなり大きくなっている。楽器の音も全体的に強い音になって、要は小さいコンポでもロックっぽく鳴るようになった。
僕は「四重人格」というのは、嵐のような楽音の中で吹き飛ばされそうなほど小さいのに揺らがずに聴こえてくるジミーの声があってこそ、音楽世界が成り立つと感じている。そういう鳴り方を聴いていると、その世界にはまり込んでしまいそうな感じなのだ。初期CD音源をしっかりしたコンポで鳴らすとそんな鳴り方をする。
ジミーの声が大きくて、押しても引いても倒れないような聴こえ方をすると、これは世界が違うんじゃないかと感じてしまう。しかし、そういう音のほうが小さいコンポで聞いたときには盛り上がるんだろうと思う。
健気なジミーの声が聴こえたら感動するけど、聴こえないんじゃしょうがない。
実際、mp3にしてカーステレオで聴いたらデラックスエディションも悪くない。
参考サイトのアドレス。
http://www.e-onkyo.com/news/231/
GREAT3片寄明人の「ハイレゾ・コラム」 第5回 The Who 『四重人格』(後編)2014/11/21
9月、半年足らずだけど追記。
オーディオをいろいろ弄っているうちに、以前とは印象が変わったので。
Quadrophenia、今のシステムだと粗が見える、というか音像が分離しすぎるのだ。以前のシステムだと程よく有機的に溶け合っていた部分が分かれて聞こえる。いろんな音が個性を主張し暴れながらも音楽として溶け合っていたのが、編集で重ねた音像だということが見えやすくなったというのか、、、その分、音楽には入り込みにくくなった。ばらばらに聴こえて、聴いてて覚めちゃうのだ。
特別に音がいい録音というわけではない、ということに評価変更。
上手く再生できたら素晴らしいんだけど、システムのハイファイを突き詰めていくのにつれて良くなる音源ではいないんだろう。こいつを上手く鳴らすのは個人的課題なので、アプローチを変えて臨みたい。
ちなみにChappie, Don't Cry 1stプレスの評価は以前と同じ。
つうか、こっちは、より気持ちよく鳴るようになった。やっぱり音いいなあって感じ。
だらだら書いてきて、何が言いたいのか分からないけど、音源って難しいなと思う。
売るとなれば、再生環境に配慮しないわけにはいかない。
ハイファイ用ミックスとポータブル用ミックスの両方を売るとか、いっそ抱き合わせて売るとかしていいんじゃないかとか、とりとめなく考える。
音源が良くないとオーディオという趣味は成り立たないのだけど。
Jul 12, 2016
ハイレゾを作って再生してみる、など (追記:アップコンバートすることにした)
どこから書いたものか。
現在、うちのオーディオのメインシステムはpiCoreを使ったメモリ再生になっている。
volumio + NASの音も悪くないと思うんだけど、妻は音量を上げたらうるさいというのだ。まあ、それは認めるけどたいしたことないじゃんと思うのだけど、妻としては差が大きいらしい。メモリ再生だと音量を上げてもうるさくないという。確かに、僕もそう思う。
オーディオやってる僕よりも、実は妻のほうが音質にはうるさいのだ。僕はうるさくても案外平気で聴いていたりする。
同じファイルであっても、NASに置くか、RAM上に置くかで、大きな音質差が生じる。
つまり、44.1kHz/16bitの音源の扱いはそれほどデリケートだということだろう。
過去には、調子がよくないNASを良いものに替えることで、音質が改善した経験がある。
このときは、NASの交換に伴ってmpd.confの設定が変わってしまった。調子が悪いNASを使っていたときはアップサンプリングする設定の方が音がよかったのが、NASを交換したら、しない設定の方が音がよくなったのだ。
今回のメモリ再生の試みに関連して http://www.yung.jp/bony/?p=3595 こちらのサイトのオーナーyung氏が同様のことをコメントしている。つまり、mpdのアップサンプリングの設定をやめたというのだ。そのほうが音がいいと。
mpdのアップサンプリング設定をやめるとき、というのがあるようだ。
システムの状況が改善し、ジッターが充分に減ったときには、アップサンプリングしないほうが音がよくなる、ということらしい。
逆に、ジッターが多い状況だとアップサンプリングしたほうが良くなる場合がある。アップサンプリング自体がシステムに負担を強いることだし、アップサンプリング自体の品質がどの程度確保できるかもシステムによるので、やってみないと結果は分からない。
過去には、うちではMac miniからの光出力をDACに送る際に、Mac miniでアップサンプリングしていたことがある。
5mばかり光ケーブルを引っ張っていたのでジッターが多かったのだろう。
アップサンプリングすることで、かなり音質が改善した記憶がある。
あと、LANの受け手側のmpdでアップサンプリングしていたことがある。
前述したNASの調子が悪いときの話で、データの転送自体ですらシステムに大きな負担がかかっていた。ジッターが増えやすい環境だったのではないかと思う。そうした場合には、mpdによるアップサンプリングの品質が悪くても、しないよりマシで、したほうが音がよかった。
もっと昔、ニールヤングがリリースしたDVDのハイレゾ音源を、当時はPowerbook G4だったかで再生して、CDと比べて音がいいことに驚いたことがある。もしかしたら元々ミキシングが違うのかもしれないが。ずいぶんクリアになるんだな、と当時は思った。ミキシングが違うからという印象ではなかったのだけど。
そこでタイトルに戻るのだけど、ハイレゾだ。
ファイルをアップサンプリングして再生するということは、ハイレゾを再生するということだ。
アップサンプリングして送信するということは、ハイレゾを送信するということだし、アップサンプリングするということはハイレゾ化するということだろう。
CDからのリッピングファイルをアップサンプリングしただけのファイルやデータなんてニセレゾじゃないかという話があるが、僕はいろいろ考えては見たんだけど、まあ、それもハイレゾだろう、という結論に達した。
問題になるのは売り方だ。
ニセレゾというのは、売り方の問題に関わる言葉だ。
それとハイレゾファイルって実際どうなのか、という問題は別だ。
ここまでの話の流れから、ここで言いたいことは自明だろう。
ハイレゾ再生というのは、ジッターが多い環境での音質対策なのだと思っている。
ジッターが少ない環境なら、理論的に44.1kHz/16bitで充分なのだと思う。
ジッターが多い環境になると理論どおりのDA変換とはいかないので、44.1kHz/16bitの音楽再生だと音質劣化が無視できなくなるんだと思う。
話は単純で、サンプリング周波数が多くなったら単位時間当たりのサンプルが増えるので、DA変換に際してのジッターの影響による誤差が相対的に少なくなるのだろうと考えている。
得られる音質改善は対症療法的なものだ。
デジタル音源再生の音質改善の本質はジッター低減だと思うのだが、コンシューマーが取り組むには限界がある。というか、そもそもコンシューマーはジッターについて考えたりなんかしない。mp3で大音量のほうがいいのである。RAMに可逆圧縮ファイルを取り込んだりなんかしないのだ。
思うんだけどハイレゾ音源の利用というのは、もともとコンシューマー向きの再生形態でハイエンドオーディオ向きではないと思う。
ハイエンドコンポであればジッター対策もそこそこ施されているはずだから、恩恵が少ないのではないか。
むしろコンシューマー向きのジッター対策していないオーディオセットでこそ、CDとハイレゾの差がはっきり出るんじゃないかと思うし、コンシューマーは難しいことは考えずにハイレゾ使ったら音がいいねで済んじゃうほうが望ましい。ジッターが少なかったらCDで充分なんて薀蓄はコンシューマーには似合わないし、コンシューマー用の機器ではそもそもジッター対策は打ちにくい。
いや、違うかな、、、
家電店とかでコンシューマー向きのミニコンポとかの音を聴く機会があるけれど、なんというか厚化粧で、これならどんなCDでもおんなじように鳴るだろうな、という印象を受けることがある。あらを隠すことには大成功してるという感じ。これも技術的なノウハウがあるのだろう。
CDとハイレゾの区別は付かないかもしれない。
だとしたらハイレゾの恩恵を受ける層はいないってことになるのかな、、、
話がそれた。
ここで取り上げるのは、CD音源の44.1kHz/16bitのファイルを192kHz/24bitに変換して、メモリ再生したらどう聴こえるだろうかということだ。
ジッター対策を多少なりとも行った環境(メモリ再生環境とはそういうものだと僕は理解している)でハイレゾに意味があるのかということ。
これで意味があるなら、ハイエンドオーディオでもハイレゾに意味があるだろう。
変換に使ったソフトは以下のサイトから落とした。
TASCAM Hi-Res Editor
https://tascam.jp/jp/product/hi-res_editor/top
使った音源は、Pierre Boulez の the Complete Columbia Album Collection というボックスセットから、CD40 Bartok / The Wooden Prince の一曲目、「Introduction」。CDをリッピングして作ってあった 44.1kHz/16bit flacからwav を作成、これを、TASCAM Hi-Res Editorを使って、192kHz/24bit wav を作成した。これを xrecode II を使ってflacにする。
つまり4種類のファイルができる。
ふだん使っているのはflacだが今回は敢えてwavも聴いてみる。
ファイルを作った直後に Compaq 6710b / foobar2000 で再生してiPodのおまけだったイヤホンで聞き比べたら、なんとなく違うような気がする。自作ハイレゾファイルのほうが、いいんじゃないかな。
次に、NASにコピーして、そこからのデータを再生。Compaq 6730b / mpd でイヤホンで聴いてみた。これは、区別が付かない。区別が付かない上に、どうも明らかに精彩を欠く。NASから物理的にもかなり遠いというのもあるのだろうか。しかし、それだけ聴いていたら、それほど音が悪いとも思わないんだけど。比較してしまうと差が明瞭になってしまう。
7月15日、追記。
気を取り直して再度、NASからの音をイヤホンで聴いてみたら、若干だが自作ハイレゾファイルのほうが滑らかで繊細なニュアンスが伝わる音がするようだ。最初に聴いたときは落差に驚いて判別不能に至ったようだ。
訂正しておく。
piCoreでメモリ再生してみる。メインシステムでスピーカーからの音だ。
結果から言えば、わずかだが違う。
ジッターの影響が少なくなれば区別が付かなくなる、という想定だったのだけど、違いはメモリ再生でも聴き取れるように思う。
Ras piなんて使ってるからそんなもんだろと言われても他と比較する術はないが。
192kHz/24bitのほうが繊細でグラデーションが細やかな鳴り方だ。44.1kHz/16bitは勢いがあるけど、やや荒い。ロックには良いだろうけど。ロックは昔からノイジーな音楽で、若者はそのほうが共感できることがある。
困った。自作ハイレゾの方がオーディオ的には音がいい。
というか、CDをリッピングしたファイルから作ったハイレゾでも、ハイレゾとして機能するんじゃないのかな?
何が困るって、CD1枚をリッピングしたflac(うちのライブラリの基本はそれだ)からハイレゾファイルを作って再生するとしたらファイルのサイズがバカにならない。Ras pi 2 のメモリ1GBではとうてい足りない。Ras pi の何がいいって、i2sデバイスが簡単に設定できるところなのだけど、数GB以上のメモリを積んだ他のボードPCを利用するとなると、i2sの工作が大変だ。ソフトウェアの設定も、Ras pi のように簡単にはいかないはずだ。
となると、usb出力を使うことになる。
うちには使えそうなusbデバイスがないのだ。何か探すということになる。
しかし現状で鳴っている音を聞くと、、そこまでするニーズって、僕の中にあるの?と思ってしまう。
他の手段としては、Ras pi 2 に他のメモリを追加して使うとか。usbメモリを刺して、musicディレクトリにマウントしてしまえば数GB以上の空間として使える。若干システムの負担になるのがデメリットだけど、LAN経由でNASを繋ぐほどじゃないはずだ。
というか、ハイレゾ変換ファイルusbメモリ再生をするつもりなんだろうか僕は。
日常的な使用という意味では、メモリ再生以上にハードルが高い。音源を格納したusbメモリを再生出来るネットプレーヤーなどという製品が巷では販売されているのだし、もしかしたらそっちのほうが有望な選択肢なんて事になるやもしれない。
などと考えながら、購入した正規のハイレゾファイルのメモリ再生などしていると、必ずしもハイレゾの方がいい感じに鳴るとばかりは言えないように思えてきた。Waltz for Debbyは、CDからリップした44.1kHz/16bit flacのほうがなんだかいい感じなのだ。HDTracksから購入した96kHz/24bitのファイルがあるんだけど、どうも良くない。ぼんやりしている。以前からハイレゾってこんなかな?ソフトな音だよねと思ってたんだけど、明確になってしまった感じだ。
理由は、おそらくはマスターの劣化によるものだ。
ハイレゾのマスターは、米コンコード社でオリジナル・アナログ・テープより変換された2010年192kHz/24bitリマスターを基にしたDSDマスターが使用されているとか。対して、CDのほうは1997年のもので、アナログマスターテープに20bit K2スーパーコーディングを用いたHQCDだ。
10年以上の時間による経年劣化が、音に反映されているのではないか。
もうひとつ音源を所持していて、Complete Village Vanguard Recordings 1961(日本盤)というもの。これは2002年にデジタル・リマスタリングされたらしく、どうもベースの音が太い。別ものだ。
調べてみたら、Waltz for Debbyという音源はいろいろあって一筋縄に行かないらしい。
こうなると、古い音源が欲しくなる。
これ以上ここに書くと話がとっちらかるので止める。
さて。
ras pi2 + piCore7 は、usbメモリを刺したら自動的に認識してくれる仕様になっているようだ。
tc@box:~$ fdisk -l Disk /dev/mmcblk0: 3965 MB, 3965190144 bytes 3 heads, 8 sectors/track, 322688 cylinders Units = cylinders of 24 * 512 = 12288 bytes Device Boot Start End Blocks Id System /dev/mmcblk0p1 342 2902 30720 c Win95 FAT32 (LBA) /dev/mmcblk0p2 2903 322688 3837432 83 Linux Disk /dev/sda: 8054 MB, 8054112256 bytes 49 heads, 29 sectors/track, 11070 cylinders Units = cylinders of 1421 * 512 = 727552 bytes Device Boot Start End Blocks Id System /dev/sda1 1 11071 7865328 b Win95 FAT32 tc@box:~$ mkdir music/usb tc@box:~$ sudo mount -t vfat /dev/sda1 music/usb
上記コマンドでマウントポイントusbにsda1をマウントできる。
しかし、理由はよくわからないのだけど、これでmusic/usbmに音楽ファイルをsftpで転送出来るのかというと、うまくいかない。権限の問題じゃないかと考えたりしたのだけど、解決できなかった。
しかたないので、以下のようなコマンドでNASの音楽ディレクトリもマウントして、そこからsshでコマンドを打って音楽ファイルをコピーすることにした。
tc@box:~$ mkdir titan tc@box:~$ sudo mount -o addr=192.168.1.80,nolock -t nfs 192.168.1.80:/titan /home/tc/titan
しかし、これもうまくいかない。
というのは、せっかくマウントしたusbメモリをメモリとして使ってくれないようなのだ。
piCoreはどうも、メモリが必要となるとまずはRAM、その次にmicroSDカードを使うように設定されているようで、マウントされてるusbメモリは目もくれず、まずRAMにデータを蓄積し、足りないとmicroSDカードにデータを蓄積していく。数GBのデータをマウントしたusbメモリに転送したつもりが、アンマウントして確認したら空っぽだった。
これでは音を出してもどこにあるデータを再生しているのかわからない。
つまり、usbメモリからの音を聴きたければ、あらかじめデータをusbメモリにコピーしてから刺さないといけない、ということだ。
解決法もあるのかもしれないが、発見できなかった。それでも、音が出るだけ御の字だ。
そんなこんなで、usbメモリに書き込んだファイルとLAN経由の音を比較してみる。音源はMiles DavisのSorcerer。
多少、usbのほうがいい感じ。細かいニュアンスがでるしアタック音のきつさが自然になる。
usbメモリに書き込んだファイルと、RAMに置いた音を比較してみる。、、若干、RAMのほうがいいかな。細かいニュアンスが出ている。比べたらusbのほうが荒々しい。
usbメモリを抜いたら、また変わるのかもしれないけど、ちょっと根気や記憶力が続かなくて比較できないと思う。
一応、音質の比較は LAN < usbメモリ < RAM、ということになった。
しかし、usbとRAMとの音質差はわずかで、激しい音楽の場合はusbでもいいんじゃないかな、という感じだ。
usbメモリにハイレゾ化したファイルを置くようにしたらRAMの不足を補えるかと思ったけど、どうも改善と悪化が打ち消しあってチャラになりそうな予感がする。
RAM再生で比較したら差を聴きとれた Boulez の Bartok / The Wooden Prince 「Introduction」を再生してみる。
RAMにCDからリップした44.1/16のflac、usbにそのファイルから作った自作ハイレゾ192/24のflac。
区別が付かない。
そう思いこんでるからかどうかわからないが、実際区別が付かない。残念だけど、usbメモリを自作ハイレゾの貯蔵庫にというアイディアはどうも無駄ばかり多いということになりそうだ。自作ハイレゾを本気で使う気ならメモリを数GB以上積んだマシンで取り組むべきなんだろう。
もしもusbメモリを貯蔵庫に使えるようなら色々と便利になるだろうにと思っていたんだけど、残念だった。今回はここまで。
7月19日、追記。
ふと思い立って、アップコンバートを試みることにした。
Raspberry pi B+ではとうてい無理だと思っていたんだけど、Ras pi2だったらメモリもCPUも強化されているし、出来るのではないか。
mpdの設定で、量子化ビット数はCDと同じ16のまま、サンプリング周波数を上げることにする。
libsamplerateは、tczが用意されているので、以下のコマンドでインストールできる。
tce-load -wi libsamplerate-dev.tcz libsamplerate-doc.tcz libsamplerate.tcz
mpdを再インストールして、.mpdconfを編集する。
サンプリング周波数192kHzでは、Medium Sinc Interpolatorではノイズ、音跳びでうまくいかなかった。
サンプリング周波数176.4kHzだったら、Medium Sinc Interpolatorで再生出来る。
音質は今までで最高だと思う。