Jul 16, 2007
実名・匿名ってことについて
他に対処方法が見あたらない以上、同定性の問題は重要(la_causette)
この件については、ずいぶん前から議論が続いていたと思う。
自分はほとんど追いかけることが出来ていなくて、いつ始まったのかも良く知らない。
追いかける余裕がありませんでした。
ちょっといかんのじゃないかと思って、la_causetteを急いで読みました。
リンク先とかトラックバック先は余り読めていない。
不十分かも知れませんが僕の理解は、ネット上で起きる不特定多数による個人への攻撃(というか、対応困難なデータというべきか。理性的な意見から根拠の無い罵詈雑言、大量のデータが集中すること、個人が手を出せないところで批判が一方的に行われるケースまで、多様な内容が含まれることになる)についてどう対処していくべきか、という議論が行われている、というものです。
攻撃を受けている個人が対処すればいいという意見と、個人が対処するには限界だから実名化などの対策が必要、という意見の対立が起きている、と。
とりあえず見当違いかもしれないけど、現在思うところを書いておこうと思いました。
というのも、国がしようとしていること、11日エントリーの話とか、先月24日エントリーのパブコメの話とかと、被ってくる可能性があるんじゃないかと思うから。
国は「有害なコンテンツ」を問題にし、業界団体の自主規制やガイドラインを参考?に「違法」を定めて、ネット上の言論に網をかけようとしている、、、のか?
総務省の担当者が、誤解であると述べたと報道されているけど。
「情報通信法、コンテンツ規制強化は誤解」・総務省担当者が勉強会で説明(IT-PLUS)
何が「有害」なのか意見は多々あるでしょうけど。
ネット上と非ネット上の「同定性」を確保する、という対策。
これは「有害な情報」を減らすための有効な手段のひとつと、考えられるんじゃないだろうか。
ということは、今後、国が政策として行うかもしれない(ちなみに「何が有害か」は、上記のIT-PLUSの報道によると「最終とりまとめまでに考えていきたい。」「乱暴な定義にするつもりはない。」とのこと)。
韓国はインターネット実名制を取り入れている。「制限的インターネット本人確認制度」というらしい。
日本もそうなる可能性は、ないとはいえない。
、、、強引かな、、。
個人的には、ネット上で何が「有害な情報」といって「プライバシーを侵害する情報」が一番問題だと思っています(厳格にプライバシーってどう定義するんだとか言われると窮するので、とばします)。
国が考えてる有害というのとは、それは違うと?
まぁ、たしかに、僕もそんな気はしないでもないんだけど、でもプライバシーを侵害する情報が有害だというのは思うわけです。
(ちょっとこのエントリー、無理矢理な論旨になったんですみません)
個人を特定できる情報が例えばWinnyで拡散する、サイトにアップされる、そして本人はそのことを知らなかったり、知っても被害があってもどうにもできなかったりするケース。そしてネット上の特定のサイトが匿名者によって炎上する場合。炎上だけならまだしも、そのサイト運営者の個人情報が特定され、非ネット上の生活に影響するケース。
どちらも不特定多数によって、特定の個人が被害を受けるという構図は同じです。
これって「業界団体の自主規制やガイドライン」と照らし合わせて、どうなんだろう。
先月24日エントリーの話では、それを参考に「違法」を決めると総務省はいってますが。
ちなみに、自分が契約してるtikitikiのホスティングサービスの利用規約を、参考程度に見てみます(規約自体にリンク貼ろうかとも思ったけど、トップにしておく)。
第12条(情報発信の管理)
ホスティング会員がCGI等を利用した掲示板・チャット等、第三者による書込が可能な機能を設置している場合、ホスティング会員は第三者による書込に対してもその管理義務を負うものとし、ホスティング会員が表示している情報と同等の責任を負うものとします。
(abk1記:なるほど、匿名者がサイトに書くコメントは、それはホスティング会員の責任ってことか。そして13条に禁止事項が続く。)
第13条(禁止事項)
ホスティング会員は、本サービスを利用するに当たって、以下の各号に該当する行為をしてはなりません。なお、以下の各号に該当する行為により、当社設備が被った損害、クレーム対応に要した費用をホスティング会員に請求できるものとします。
(abk1記:ちょっと項目を省略して5番目から。)
(5)他の会員、第三者もしくは当社の肖像権、プライバシーを侵害する行為またはそのおそれのある行為
(abk1記:今回、これが気になる。)
(6)他の会員、第三者もしくは当社を誹謗中傷する情報またはその名誉を毀損する情報を不特定または多数人に対して送信または表示する行為
(abk1記:自分ひょっとしてやばいですか?JASRACとか批判していますよ。つうか、炎上中とか祭り中とか、どうなんだこれは。ホスティング会員自身が中傷される場合は、管理責任はホスティング会員だから自己責任ってことか。
ともかく、誹謗中傷する情報、名誉を毀損する情報は、基本的にアウト。そして13条に反したらサービス停止するかもと27条にあります。tikitiki的ガイドラインを基準に国が法律を作ったら、炎上するサイトは閉鎖になります。
、、、って、ほんとかな?
この項目、個人に不利益が及ぶ場合、(5)のプライバシーの問題だと思うのですが、よく分かりません。
以下項目が続きますが、省略します。)(22)前各号のいずれかに該当する他人のデータ・情報等へリンクを張る行為
(abk1記:ここに書かなくても、リンクでもやばい場合があると。以前のエントリー、リンクを根拠に攻撃された人がいましたね。)
第20条(個人情報保護)
3.当社は、個人情報を適切に管理し、あらかじめホスティング会員の同意なく、第三者に個人情報を開示、提供することはありません。ただし、以下のいずれかに該当する場合は除きます。
(abk1記:法令で定められたことで、個人情報を出すことがあると。まぁ、これは法律。しかし総務省での動きによっては、さらなる義務がプロバイダーに課せられるかもしれない?)
まぁ、ネット上の祭りが起きたら即閉鎖なんていう法律が作られるとは、ちょっと思えないけれど。
でもビンテージリストを作った経産省の例もあるし、役所というのは油断がならない。
改めて読んで気が付いたのは、この規約では基本的にサイトの上で起きることを管理する責任は「サイトの管理者」にあるという、当たり前と言えば当たり前の内容。
つうか、サイトが炎上するのをなんとかするのは、そのサイトを作っている人って認識で作られた規約なんですね。
そりゃあ、その炎上をどうしたいかは、その人にしか分からないからねー。
しかし現状ブログ炎上が起きた場合、コメント書き込みをブロガーが規制する以外の対応は難しい。
他に思いつくのは、サイトを閉鎖するとか、エントリーを削除するとか、徹底的に闘うとか、どうにも生産的でない。
つうか、ネット上の議論でも、ネットイナゴがいやならコメント欄を閉じればいいという意見はよくあるようですし、一般的な対策とされているように思います。
サイトで起きていることはサイト管理者が何とかするのが基本ということなら、そういうことにもなろうかと。
tikitikiと無料のブログサービスでは違うかもと思って、一応、ココログの利用規約を確認してみたけど、第6条(自己責任の原則)っていうのがあって、やっぱりブログ上で起きたことはブログ主の責任で対処して、ってことらしい。他のサービスは調べていませんが。
しかしコメント機能を止めたらエントリー上の議論がなくなり、そこにコンテンツがあること以上の発展的な展開は難しい。
そこでリスクを避けるためのユーザーの対処のひとつが、例えばmixiなどのソーシャルネットワークの利用かも。
完全な匿名というわけじゃないから、参加者が極端な行動に出る可能性は低いと思われるし。
ここまで書いてふと思って検索してみたら、既に上がっていた。
甘えているのはどっち(la_causette)
炎上のリスクは減るけど、広く公開はされないと。
個々のブロガー、サイト管理者が対策しても問題はあって、自分のサイト以外のところで行われることは対処が困難です。
そういうのは無視していればいいという意見に対しては、インターネットが日本中、世界中に開かれているということを忘れているのでは、と訊きたくなります。
隣近所や職場・学校で悪い噂を立てられているといった話とは全く違います(それもキツいですが)。
世界中に、身に覚えのない悪評が発信されているということですから、普通なら耐えられないことです。
それに、ネット上でプライバシーの被害を受けている人自身が、そのことに気付いていないケースだってあります。これは本人が無視しているのと同じだから問題はない、とはとても言えない。
対策として個人の同定性を高めるということになれば、ウェブ全体がGoogleで検索できるmixiみたいになるということでしょう。
実名を公開しないといけないでしょうか?
どうなんでしょう、、、
僕は、インターネットは不特定多数の名も無き者が意見を表明でき、それを世界が見るというところだと思っていました。CCCDに反対するネット上の活動はまさにそういうものだったし。
声を挙げるのはハードルが高い。
インターネットはそのハードルを大幅に下げた。ハードルの低さがネットの匿名性に因る部分は、多分凄く大きい。
僕が危惧するのは、個人の同定性を高めることでそのハードルがまた高まることがあるだろうか、ということです。
ネットで行われている議論の多くが、善くも悪くも生活感に溢れた内容になっているのは、誰でも気軽に参加できるハードルの低さ故です。これはネットの財産ですから、失われるとしたらとても残念だと思います。
個人的な感情ですが、僕は実名をネット上に公開したくありません。
プライベートな関係性を超えるところ、自らのコントロールが及ばない不特定多数にまで、自分のプライバシーを教えたくはない。会ったことも無い人が僕のプライバシーを知っているなんて、気持ち悪いという気がします。
タレントでも政治家でもないのだし、僕が実名を表示しても利益は何もない。
それが情報を発信する者の責任・義務であるということなら、そこまでしてサイトの運用はしたくない。
もしも、実名がないコンテンツだから無責任ということなら「すみません、内容を見て各々が判断してください。」としか言えません。実際、間違えたことも書きますし、気付いたら修正し、どこを直したかは分かるように残しているつもりですが、まあ、無責任なこともないとは言い切れないですし。
まぁ、僕にとっては匿名性というのはありがたい部分があります。
匿名性故に運用を継続しているサイトは、少なくはないんじゃないかと、個人的には予想します。そういうルーズな環境だからあり得た面白さが、今のネットにはあると思います。
しかしそれでも、誰もが全く匿名でネットを利用できる現状には問題があるという意見には、理があります。
それこそ自らのコントロールが及ばない不特定多数にプライバシーを侵害される被害者がいるのだから。
もしも、誰でも簡単にサイト管理者を特定できる情報をサイト上に公開するように法律で強制されたとしたら、僕は多分、サイトをたたむでしょう。でも出来ればたたみたくはないんですね、細々ながら続けてきてることだし。
では、実名などの登録の必要はあるが、不特定多数にいつでも公開されるわけではなく、問題があった場合にのみ個人が同定される仕組みでは?
そういうのなら、僕はサイトを続けていけるような気がします。多分、個人のプライバシー公開・匿名性の排除を、どこまでどういった場面に求めるかによって、ネットの状況はかなり変わるのではないかと思います。
誰もが気後れせずに声を挙げることが可能な開かれた状態を維持しながら、同時に、問題の対策のために一定の個人の同定性も確保できるような、そういう状態にネットを持っていくことができないだろうかと思います。
しかし、出来るのか?
僕には技術的なことはよく分からないわけですが、、。
問題があった場合にのみ個人が同定されると言ったって、何をもって問題とするかと訊かれると分からないし、逆に「問題がある」とされた情報を発信した者のプライバシー・法的な保護は、どうするのか、とか。
なかなかスッキリした考えにはまとまりません。
えーと。
基本的にサイトの上で起きることを管理する責任は「サイトの管理者」にあるという、当たり前と言えば当たり前、という現状だったわけですが、サイトの管理者の責任だけじゃどうにも手薄で無理じゃん、ってことを国は考えているらしい。
実際、なんとかしないといけない状況なのだけど。
「ネットに安心・安全の規律は必要」・情報通信新法の論点(村上輝康)(IT-PLUS)から引用。
今回の検討の過程で、ポルノ、暴力、ドラッグ、自殺サイト等、いわゆる有害サイトの調査を行ったが、その実態は、我々の想像をはるかに上回るところまで行っている。これらは今後、より目に見えるかたちで害をもたらし、さらに影響範囲を広げることになるだろう。
しかしながら、現行法制には、今回の検討で「公然通信」と分類されるブログや掲示板などネット上のコンテンツには、法律レベルの包括的な規律が存在しない。現在の有害サイトの実態を見ると、現実の世界には青少年保護や有害図書指定という規律があるのに対して、ネットの世界に入ると全く規律がないという状況が放置されていいとは考えがたい。
なるほど、有害図書ですか。
18歳以上ですかって問われて14歳の子が「はい」ってクリックすることは、たしかにないとはいえない。
個人が特定できるようになれば、そういうこともなくすことができるかも知れませんね。
おれ18歳以上だけど冗談じゃないよって人もいそうだなぁ、、。
上記記事のような考え方を情報通信法について持っている人もいるということで。
僕は、いわゆる有害サイトがあることよりも、個人のプライバシーが侵害されてることの方がよっぽど有害だと思うんだけど、どうなのでしょうか。つうか、記事中にブログや掲示板って書かれてしまっていますが、要するにそういうとこで行われるコメントや議論も、法律の規制の対象になるかもっていう理解でいいのしょうね。
国は何をもって「有害」とするつもりなのか、これから決めると言うけど。
表現の自由が制限されて、一方でプライバシー侵害については有効な対策が無いというようなことになるようなら、個人的には本末転倒だと思います。
僕はパブコメはそういう視点から書こうと思うんですが、難しそうです。
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Caution!!!
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