Sep 22, 2025
オープンピンとターミネーターとWiFi AP
まだLANとターミネーターの話が続く。
この分野は今まで手を付けてなかったのが悔やまれるぐらい音の変化が大きい。
今回は、NAS音源とストリーミング音源の比較の話だ。
以下、LANの経路を表にしてみる。信号の流れは左から右へ。
NAS QNAP HS-264 ターミネーター使用 |
スイッチングハブ Buffalo LSW4-GT-8NS パテ詰めオープンピン x4 使用 |
スイッチングハブ NETGEAR GS108v4 パテ詰めオープンピン x2 使用 |
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ストリーミングサーバー hp ProBook 430 G5 Daphile ターミネーター使用 |
Wi-Fi AP Aterm WG1600HP3 オープンピン x4 使用 |
スイッチングハブ NETGEAR GS108v4 パテ詰めオープンピン x2 使用 |
ターミネーターは全てパテ詰めしている。
HS-264にはもともと2つのLAN端子があり1つだけ使っている。ストリーミングサーバーはWiFiで繫いでいるので有線LAN端子は空いている。そういうわけで、両方にターミネーターを挿している。
さて、工程上の都合で間に合わなくて、DaphileのアクセスポイントになっているAtermWG1600HP3に挿しているオープンピンは、パテなしのオープンピンになっていた。
これを替えたら、Daphileの音がどう変わるかということだ。
まず、パテなしのオープンピンを挿した状態で聴いてみる。
ひとつめの音源は、ブーレーズの木こり王子。
トラック1のピッキング音は、NASのほうが、Daphileよりも明瞭に鳴る。しかしDaphileのほうが、全体的には音色が溶け合うような甘く優しい雰囲気がある。ピッキング音は消えているわけではなく、むしろNASの音のほうが硬い印象。
次の音源は、Royal Concertgebouw Orchestraの、Debussy, Dutilleux & Ravel (Live) のトラック11、Ravel: La Valse, M. 72: I. Mouvement de valse viennoise。
冒頭、低音の音程が聴き取れるかなんだけど、これはNASとDaphile、同等だ。全体の音色はDaphileのほうがいいような気がする。やはりNASのほうが硬い。
3つ目、Walter Tilgnerの小鳥。
ともに正中上だが、最初数秒はやや右寄り、そこから正中に移動する。全体的な音場はDaphileのほうが広い。
WG1600HP3のパテなしオープンピンを外してみる。
木こり王子は、なんとなく静かになる。良い意味ではなく、音の主張がない。ピッキング音はNASと同等。オーケストラの音はやや硬い。
Ravel: La Valse、低域の音程がゆるくなる。全体的なオーケストラの再生音も、やや混濁気味というか締まらない。音色が溶け合って心地良いというのとは違って音の濁りとして感じられる。
Walter Tilgnerの小鳥自体は、NASと区別がつきにくい。しかし全体的に生命感に欠ける。
WG1600HP3にパテ詰めオープンピンを挿す。
木こり王子、静かに始まるが存在感はある。ピッキング音は、若干、他の音に埋もれがちに聴こえる。しかし消えているわけではなく、オーケストラとしての音はNASよりも心地よく聴こえる。
Ravel: La Valse、低音の音程が戻る。オーケストラも音色が溶け合って心地良い。溶け合うが混濁しない。
Walter Tilgnerの小鳥、小鳥自体はNASと区別がつきにくいが、音場はDaphileのほうが広い。パテなしオープンピンを使っているときよりも奥行きがある。
全体的にいい音だと思う。
こういった結果だった。
音が良い順番に、Daphile(パテ詰めオープンピン使用時)、Daphile(パテなしオープンピン使用)、NAS 、Daphile(オープンピンなし)。
WiFi APの状況によってNAS音源の音も変化があったかもしれないのだけど、そこの比較まではしていない。
とりあえず、オーディオデータが通るWiFi APに空いているLAN端子があったら、そこへの対策は軽々しく考えないほうがいいということが分かる。
以前は、NASのほうがストリーミング音源よりも音が良かった。
いつ頃までそうだったっけと確認してみたら、今年2月末頃までだ。当時、LMSサーバーがつながっていたスイッチングハブ(LSW4-GT-8NS)に銅メッシュによるノイズ対策を打つことで、ストリーミング音源の明確な音質向上があった。その結果、NASよりストリーミングのほうが音が良くなったのだ。
そして5月頃に、そのスイッチングハブにNASを持ってくることで、NAS音源の音質に改善が得られてNASとストリーミングの差はほぼ無くなっていた。
それが再び、ストリーミングのほうが良くなった。
LMSサーバーが、LSW4-GT-8NSの許から、WiFi APであるWG1600HP3の処に移動することによって。
差異が少ないなら気にしないが、無視し難い程の差異があるので、なんとかしないといけない。
しかし、なんでこんな差があるのかね。
LSW4-GT-8NSの問題なのかな。
ここで、このハブの筐体の上に振動対策のつもりで石のボードやら本やらを載せたままになっているのに気付いた。
ストリーミング音源の経路には、これがない。
これが悪いのかな。
石のボードを外してみたら、NASの音に生命感が戻ってきた。
石をハブの下に敷く。こっちの方が良さそうだ。ストリーミングと比較して、ほぼ同等じゃないかな。
次に何が出来るか。
ターミネーターを増やしてみる。
上の表に出ているオープンピン12個を、ターミネーターに変えてみる。
順次、替えていって評価するつもりだったけど、とりあえず面倒になったので全部入れ替えた。
音は良くなってる。
結果、ストリーミングのほうが、音の抜けがいい?ような気がする。
NASのLANケーブルを変えてみる。といってもオーディオ用ではない一般的なものだ。長過ぎて巻いているケーブルを適切な長さに変えるとか、細かいところを変えていく。シースが硬くないケーブルのほうが良いような気がする。
若干、NASの音は改善した。
それでもストリーミングの音の方がやや雑味が少ないような気がするが、、、音がおとなしいだけなのかな。どうなんだろう。
さて、ここで、DaphileはNASをマウント出来ることに思い至る。
mpdサーバーにマウントするのと、どちらがいいのだろう。
しかし、音声データの伝送経路が、NAS、有線LAN、AP、WiFi、Daphile、WiFi、AP、有線LAN、MPDサーバーと、不必要?に長くなる。それに、NASに積んでいるデータ量が多すぎるとDaphileへの負担が大きい。
やってみないと良いか悪いか、分からない。
やってみたら、音の違いは分からない。
これは4年前、Daphileを使い始めた頃にも聴き比べたことがあって、当時もほとんど区別がつかないという結論だった。たぶん、今の方が区別できない。
NASをDaphileにマウントしてみたら、Deezerの音が出なくなった。
Deezerの音が出なくなる理由はいつも不明なんだけど、今回はNASのマウントを外して暫くしたら出るようになった。NASマウントの負担が大きいのかどうかはわからない。
ともあれ、DaphileからNASをアンマウントした状態で、Deezerの音は穏やかに聴こえる。
その一方で、NASからmpdに送る音は強く聴こえる。
どちらが良質かは、判断が難しい。
好みの問題レベルかもしれないが、弦を弾く音やパーカッションの音は、NASの鳴り方の方が好ましく感じる。Deezerの音は僅かだが弱々しく聴こえる。優しい音ではあるのだけど。NASのほうは全体的に刺激的な傾向がある。
Deezerの音声データの経路になるAterm WG1600HP3は、LANポートからコネクタを弾き出す力が強いので、養生テープを貼ってLANターミネーターを固定している。
このテープを取ってみたらどうなるだろう。
Deezerの音は、強くなった。
NASの音との差異が分からなくなった。
さあ、どうしようか。
ともあれターミネーターは、このままでは何時抜けて床とかに転がるか分からない。
WG1600HP3のターミネーターを、抜け防止ピン付きに挿し替えてみる(ONUに使っている2本と合わせて6本がピン付きということになる)。
意外に、音の変化は少なく、区別がつかない。
抜け防止ピンの有無は、パテ詰めターミネーターの場合、パテなしのとき程には影響しないのかもしれない。
しかし、どうしようか。
養生テープは、ターミネーターの振動を抑えてなのかどうなのか、音に影響を与えているようだ。
無駄な振動を排除するためにテープを貼るべきなのか。
しかし逆に、テープの物理特性が音に影響を与えている可能性もある。
音を聴いて、暫し考えた末、当面は抜け防止ピン付きのターミネーターを採用し養生テープ無しでいくことにした。
数えてみたら、なんやかんやで25本、LANターミネーターを作ったことになる。200本の抵抗をハンダ付けした。最後の頃には始めた頃よりも手際が良くなったと思うが、それでも結構な作業だった。もう、そうそうたびたびはしたくないと思う。
