Mar 07, 2007

JASRAC発表

先日のおふくろさん騒動の続き。
JASRACがコメントした。
以下、リンク。

「おふくろさん」のご利用について 2007.3.7(JASRAC)

利用者各位

 「おふくろさん」(作詞:川内康範氏、作曲:猪俣公章氏)の歌詞の冒頭に保富庚午氏の作とされる歌詞を付加したバージョンについては、著作者である川内氏から意に反する改変に当たる旨の通知がなされており、同氏が有する同一性保持権(著作権法第20条1項)を侵害して作成されたものであるとの疑義が生じております。
 このため、改変されたバージョンをご利用になりますと、川内氏の有する同一性保持権の侵害その他の法的責任が生じるおそれがありますので、ご留意ください。また、あらかじめ、改変されたバージョンが利用されることが判明した場合には、利用許諾をできませんので、ご了承ください。
 なお、オリジナルバージョンの「おふくろさん」は、従来どおりご利用になれます。

川内氏からの通知は正式な文書ではなかったのではないか。
それでもコメント出すというのは、騒ぎが大きいからかな。
オリジナルバージョンの「おふくろさん」は、従来どおりご利用になれますということなので、作詞家が特定の歌手に対して歌うのを禁止することは出来ないということを明確にしたと言っていいでしょうかね。

同時に、同一性保持権侵害の「疑義」という表現をしている。
これはどうなっていくのか。

以下、報道にリンク。

紅白バージョンの「おふくろさん」、JASRAC認めず(asahi.com)

森さんの所属事務所などによると、付け加えているのは「いつも心配かけてばかり いけない息子の僕でした 今ではできないことだけど 叱(しか)ってほしいよ もう一度」の歌詞。「おふくろさん」は71年の曲で、森さんは77年から作詞家の故保富庚午(ほとみ・こうご)さん作のこの部分を冒頭に付けて披露してきたという。

川内氏と森進一氏の「おふくろさん」騒動でJASRACがコメント −「歌詞追加バージョンの利用許諾はできない」(AV Watch)
異例の発表…森進一改変版「おふくろさん」認めず(ZAKZAK)

改変「おふくろさん」に異例の注意 作詞家の通知で著作権協会(sankei web)

「おふくろさん」は昭和36年に発表。森さんは1970年代半ばから歌い出しの部分で、原曲にはない語りふうの歌詞を入れるようになった。

語り風の歌詞というより、歌がくっついてますが。
メロディー付きの歌を冒頭に付けるのと、イントロに語りを被せるのとでは、まったく違う気はするが。
誰が、語りといったんだろう。
もしかして川内康範氏が言ったんだろうか。

あと、JASRACが認めないという記事が多いけど、「改変バージョンを認めない」じゃなくて「改変バージョンの利用許諾ができない」であって。
疑義が生じているから許諾できないのであって、疑義が晴れたら許諾できるのだろう。
そこのとこは、微妙に違う気がする。

同一性保持権については、こういう意見もある。
日本人は「ゆがんだ著作権意識」で洗脳されている(音極道茶室)
著作者人格権(同一性保持権)に関する議論(Creative Commons Japan)
引用。

ここで、皆さんに理解していただきたいのは、世界的には、著作者人格権のうち同一性保持権は、日本の著作者人格権とは基準が異なる、ということです。日本の著作者人格権は、著作者の意に反する改変について同一性保持権を広く認めています。これに対して、世界的には、著作者の名誉声望を害する態様での改変に限って、同一性保持権の行使を認めている国がほとんどなのです。したがって、このような限定的な範囲での同一性保持権について尊重する、という方針を採ったとしても、日本で議論されているような「いかなる改変でも同一性保持権侵害になる可能性が否定できない」といった危険性は存在しないのです。(ちなみに、日本では、近年追加された実演家人格権では、この世界標準に合わせて「自己の名誉または声望を害する」改変のみに同一性保持権の行使を認めていますね。)

どういったスタンスで判断するかで、全く違ってきますよね。

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