Aug 13, 2007
廃盤以上の問題になるかも
昔、「ネット配信になったら廃盤がなくなる、在庫管理しなくてよくなるから」と、脳天気なことを書いた。
今になって、そんなことにはならないであろうことがはっきりしてきた、と思う。
サーバー上にしか「商品」が存在しないということは、配信する側、権利者の考え次第で、その商品を世界中の「棚」から下ろして権利者のデータベースにしまい込むことが可能になる。
つまり小売りという概念がないから、一旦権利者が「売らない」と決めた作品は、たちまち市場のどこにもなくなってしまう。CDやビニール盤のような物理的フォーマットの場合、希少な作品をあちこちの店舗を巡って探し出すとか中古品から掘り出すなどという入手方法が通用するけど、ネット配信の場合はそれが通用しない。
そして権利者は「ニーズが少ないものをサーバー上に置く」ということについて、僕が思っていた以上に興味がないようだ。
ミュージシャンが売ってくれといっても耳を貸さない。
ネット配信オンリーになったら、物理フォーマットの時代以上に音源を入手することが難しくなるかもしれない。
ネットのみで配信される楽曲が、サーバーから消えた場合、その曲はほんとうに、「新たな聴き手を得ることがない楽曲」になってしまう。まぁ、ファイルの所有者が聴いたことのない人に聴かせたらいいんだろうけど、その聴いた人が「いい曲だねえ、どうやったら手に入るの?」と訊いた時に「もうどこにも売ってないんだよ。」と。
「残念だねえ、また聴かせてあげるから、そうがっかりするなよ。」と。
で、CD-Rとかに焼いてあげるなどというのは、当然、違法かもと言うことなんですね、少なくとも権利者はそう主張し法律上「私的範囲での使用について複製を認める」ということなんで。これはDRMフリーかどうかというのは関係ない。
著作権は50年保護されている。70年になるかもしれない。
音楽出版社の倉庫に放置され、所有者も転々と変わり、70年後にパブリックドメインとして発掘されるであろう音楽ファイルが入ったハードディスク。スイッチを入れても動かないかもしれない。DVD-Rは読み取れないかもしれない。読み取れても再生するソフトがないかもしれない。
まったく、僕の考えは甘かった。
結局、コンテンツの死蔵を何らかの形で制限する法制度がないと解決しない問題なのかもしれません。